故翁長知事の妻樹子氏、香典返礼を貧困対策に寄付 「貧困の連鎖を断ち切りたい」との思い託す 


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沖縄子どもの未来県民会議理事長の謝花喜一郎副知事(左から3人目)に故翁長雄志知事告別式の香典の返礼として、寄付金を手渡す翁長氏の妻樹子氏(同2人目)と長男雄一郎氏(同3人目)=6日午前、県庁

 知事在任中の8月8日に死去した故翁長雄志知事=享年67=の妻、樹子(みきこ)さんと長男の雄一郎さんが6日午前、県庁を訪れ、翁長氏の告別式に県民から寄せられた香典への返礼として、子どもの貧困対策に取り組む「沖縄子どもの未来県民会議」に寄付金200万円を贈呈した。

 樹子さんは「沖縄の子どもの貧困率が全国平均の2倍という状況に翁長は悩み、貧困の連鎖を断ち切りたいと必死になっていた。どうしても基地問題が大きくクローズアップされてきたが、これを機に子どもたちを支える態勢をつくってもらいたい」と託した。

 沖縄子どもの未来県民会議理事長の謝花喜一郎副知事は「知事は大人たちの責任でやれることは全てやるとおっしゃり、調査などにも取り組み、基金にも億単位のお金が集まった。しっかりと思いを引き継いで、子どもの貧困対策に取り組む」と述べた。謝花副知事が生前の知事を思い返して目を赤くして声を詰まらせる場面もあり、樹子さんも涙をぬぐいながら「よろしくお願いします」と語り掛けた。

 樹子さんは、那覇市こどもみらい応援プロジェクト推進基金へ寄付金、新基地建設阻止を目的とした「辺野古基金」にも寄付金を贈る。

 沖縄子どもの未来県民会議は、2016年に翁長知事をトップに官民一体の組織として発足した。翁長知事自ら県内主要企業に出向いて基金への寄付に協力を呼び掛けるなど、沖縄の子どもたちを巡るさまざまな問題の解決に力を注いできた。【琉球新報電子版】