名護拮抗、影響は未知数 知事選、引き続き新基地争点


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<県内政局>

 沖縄県2018年統一地方選は集中日の9日、25市町村で議員選挙が実施された。地方選の結果を受け、県内政局は30日投開票の知事選に移る。知事選最大の争点となる米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題への影響が注目された名護市議選は、基地建設に反対する議員が過半数を占め、新基地建設反対の民意が示された。翁長県政継承を目指す県政与党にとって一定の弾みとなりそうだ。

 2月に誕生した渡具知市政を支える与党は引き続き同じ議席数となり、渡具知市政は引き続き、厳しい市政運営を強いられる。

 知事選では、政権与党である自民、公明と維新、希望が推薦する前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)と県政与党が支援する衆院議員の玉城デニー氏(58)による事実上の一騎打ちの構図となっている。両候補はいずれも、名護市をはじめ、各市町村を議員立候補者と共に回り、統一地方選と知事選とのセット戦術を展開していた。

 とりわけ、自民は、少数与党の名護市を最重要選挙区と位置付けていた。ただ、翁長雄志知事急逝により知事選が前倒しになったことで、予定していた政権幹部らの名護入りは見送られていた。

 一方、当選した与党議員の中には、新基地建設の賛否を明確にしない議員も複数おり、知事選では引き続き、新基地建設の是非が争点となる。市議選と同様に結果次第で建設工事に大きな影響を与えそうだ。

 一方、名護市議選と同様に、行方に注目が集まった宜野湾市議選は引き続き佐喜真氏を推す市政与党が多数を占めた。与党側は佐喜真氏の出馬に伴い知事選と同日に実施される宜野湾市長選に向け、知事選と同様に弾みを付けた格好だ。

 県政与党にとって、移設問題に揺れる名護で基地建設反対の議員が過半数を占めたことは追い風になりそうだ。

 一方、県政奪還を目指す安倍政権にとっては、知事選に向けて時間が限られる中、どこまで挽回できるか、今後の態勢づくりが急務となる。
 (吉田健一)