LGBTウェディング 沖縄で増加 県内ホテルがLGBT向けプラン


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ウェディングで友人らに祝福される清水真由美さん(左)と松尾美里さん=2015年3月、恩納村(カフーリゾートフチャクコンド・ホテル提供)

 誰もが当たり前に結婚式を挙げられる社会に―。LGBTなど性的マイノリティーのカップルの挙式が、沖縄県内でもじわり増えている。恩納村のカフーリゾートフチャクコンド・ホテルが、2014年秋にLGBT向けのウェディングプランを開始。8月末までに延べ27組が挙式し、11月にも予約が入っている。式を挙げたカップルは「以前は挙式など非現実的だった。2人の絆がとても強くなった」と喜びをかみしめている。

 LGBTウェディングを手掛けているホテルは、全国でもまだ珍しい。カフーは従業員に対し、月2回ほどLGBTに関する研修を実施している。家族への性的指向のカミングアウトも含め、挙式前からカップルをサポートする。国内外から利用があるという。

 愛知県犬山市の清水真由美さん(47)、松尾美里さん(50)は15年3月にカフーで式を挙げた。清水さんは生まれつきの性別に違和感を持つトランスジェンダー。5年前に名古屋市で式を挙げようとしたが、「他の人の目があるので」とチャペル使用を拒否されたという。

 SNSでカフーのLGBTウェディングを知った。清水さんはタキシード、松尾さんは憧れのウエディングドレスを着て、家族や友人らの祝福を受けた。2人が交際を始めた15年前は、日本では同性愛者の挙式など考えられなかったという。松尾さんは「諦めないで良かった」と振り返る。

 家族や親族へのカミングアウトなど「乗り越えないといけない壁はある」と清水さん。重ねて「痛みは伴うけど、それ以上に喜びが大きい。家族と見られるようになって人生が変わった。幸せです」と話した。

 バイセクシュアル(両性愛者)の池田由里子さん(45)、岡竹知恵さん(35)=福岡市=も15年にカフーで式を挙げた。池田さんは家族に性的指向を話していない。式には親友1人を呼んだ。それでも池田さんは「挙式は交際10年のけじめだった。新たなスタートが切れた」と充実感たっぷりに語った。挙式を希望しながら、かなっていないカップルも多いという。池田さん、岡竹さんは「私たちがオープンにすることで、後に続く人の勇気につながれば」と話し、ウェディングの写真を公表している。