基地問題 辺野古移設で違い 跡利用に独自策も【宜野湾市長選・公約比較】


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 9月30日投開票の沖縄県宜野湾市長選には、新人で前宜野湾市副市長の松川正則氏(64)=自民、公明推薦=と新人で県高校PTA連合会前会長の仲西春雅氏(57)=社民、共産、社大、自由、国民民主推薦=が立候補を表明し、一騎打ちとなる見通しだ。両氏の主張の争点や独自の政策を、政策発表会見や琉球新報が実施した座談会などでの取材を基に浮き彫りにする。

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 市の最重要課題に位置付けられる米軍普天間飛行場の移設問題については、両氏とも危険性除去や閉鎖、返還を実現するという点では一致している。

 松川氏は「飛行場の固定化を許さず、一日も早い閉鎖、返還、基地負担の軽減を実現する」とした上で、米軍機の夜間、早朝の飛行停止や、飛行場による市民の損失を補償するよう要望することも掲げる。

 仲西氏は「全ての児童、生徒が安心して学べる教育環境づくり」を念頭に、日本政府が県に約束した「5年以内の運用停止」の順守を求める考え。返還に伴う基地従業員の雇用問題を解決することも要望する。

 一方、名護市辺野古への移設については主張の違いが鮮明だ。松川氏が「国防、外交は国の専権事項であり、基地を抱える市として移設先について発信することは厳しい」と言及を避けている。仲西氏は「(普天間の)運用を停止すれば新基地は要らなくなる。名護市民に負担を強いる辺野古移設は反対だ」と明言する。

 市では普天間飛行場が市面積の約4分の1を占め、開発地域が限られているため、基地の跡地利用法も注目される。同飛行場の跡地については、松川氏は鉄軌道導入の推進、仲西氏は緑地を生かした公園整備をうたう。

 今年3月に地権者に引き渡された米軍キャンプ瑞慶覧・西普天間住宅地区跡地の利用については、両氏とも現計画にある琉球大学医学部・同付属病院の移設による「沖縄健康医療拠点」の形成を推進するとした上で、独自の政策も訴える。松川氏は「市民駐車場」の整備で近隣商店街の活性化を構想し、仲西氏は「医・職・住」をテーマにした街づくりを描く。

 (宜野湾市長選取材班)