【今帰仁】スポーツを楽しみ、陸上競技大会にも挑む元気なお年寄りが今帰仁村湧川にいる。仲松榮一さん(95)だ。昨年、全日本マスターズ陸上の走り幅跳びの95~99歳の部にも出場した。健康の秘訣(ひけつ)は今も続けている農業だ。
湧川で生まれ育った仲松さんは子どもの頃から健康に恵まれたといい「学校は皆勤だった」と胸を張る。15歳でブラジルに渡り、コーヒー農場で働いた。ブラジルで結婚した妻の千代さん=2014年死去=との間に子ども8人をもうけた。30歳で沖縄に戻ってからは、パインなどを栽培してきた。
95歳になった今も農作業に汗を流す。草刈りがメインだが、時にはトラクターに乗って畑を耕すことも。「遊んでいるよりは農業が楽しい」と穏やかに語る。
ブラジルで過ごしていたころからスポーツを楽しんでいた。今帰仁に戻った後も国頭地区の陸上大会で好成績を収めていた。マスターズ出場は長男の弥寿博(やすひろ)さん(71)=那覇市=の応募がきっかけ。「元気なうちに挑戦してもらいたかった」と弥寿博さんは語る。
大会に備え、畑仕事にいそしみながら1日2キロのウオーキングを続け、体力づくりに励んだ。和歌山県で開かれた大会での走り幅跳びの記録は1メートル72。仲松さんは「もっと跳べると思った」と振り返る。親戚も応援に駆け付け、応援団の多さに他の選手が驚いていたという。
今後の大会出場について仲松さんは「次第によっては」と控えめだが、弥寿博さんは「調子が良ければ国際大会も」と期待している。
00年に体調を崩したが回復。仲松さんは「医者にも危ぶまれたが、元気に回復することができた」と振り返る。今年10月にはカジマヤーの祝いを控える。弥寿博さんは「(体調を崩したのが)ちょうど沖縄サミットの時期で『サミットが先かおやじが先か』と気をもんだ。命をもらったので、思い切り人生を楽しんでほしい」と目を細めた。