沖縄出身の歌手安室奈美恵が16日、多くのファンに惜しまれながら引退した。「小柄だが小さい顔と細い手足、日本人離れした容姿が目を引いた」。安室を見いだした沖縄アクターズスクールのマキノ正幸代表(77)は、約30年前の第一印象についてこう語る。
1987年秋、当時10歳の安室は友人のオーディションに付き添い、当時那覇市にあったスクールを訪れた。気付けばいなくなっていた安室を、マキノ代表はスクール向かいのバス停まで慌てて追い掛けた。「この子をスターにします」。安室の母親にそう誓い、特待生として入学させた。
マキノ代表は安室について、ダンスの技量に加え「自分をよく見せようとする野望、欲望が強い子で、そのために努力を惜しまなかった」と振り返る。入学して1週間足らずで安室を「1千万人に1人の逸材」と確信し、選抜メンバーのフロントに抜てきしたという。そして他の生徒らを「安室の船に乗れ」と鼓舞した。
最後に安室に会ったのは約20年前だ。テレビの企画で、安室を引き留めたバス停を一緒に訪ねた。「あの時(87年)にここで呼び掛けたんだよね」などと少し言葉を交わしただけだった。
マキノ代表は教え子の引退について「今までの実績の全てを捨てないといけない。勇気が必要だったことだろう」とおもんぱかる。その上で「僕は安室のおかげで今ここにいる。(安室は)僕のことをどう考えているのか聞きたい」と再会を願った。