若者政策、共に考えよう
「VOTE! #みんなごと 若者たちが考える知事選」は13日、広く参加を呼び掛けて公開ワークショップを沖縄キリスト教学院大で開きました。当日の運営をしたのは当初から参加するキリ学生5人。アルバイトなどの合間を縫ってSNSや対面で話し合いを重ねて準備を進めました。
「私たちは低賃金・長時間のブラックバイトで授業に出られなくなるなど、いろんな気持ちの中で生活しています。でも声を上げる時間も場もなく、政治をどう話していいかも分からなかった。今回の勉強を通して候補者の政策に若者向けのものがほとんどないことにも気付きました。知事になる人に届くよう若者政策を一緒に考えてください」
司会の照屋葉月さんが切り出すと、会場の空気に真剣さが満ちました。
「正社員がバイトより働く時間短いのに給料は高い」
「大人から論破されるとやる気がなくなる」
参加者はグループに分かれて、若者が感じる疑問や体験などから社会の問題を抽出し、候補者の政策資料を見ながら問題の原因や解決方法を考えました。
「正社員がバイトより働く時間は短いのに給料は高い。自分の分がその人の給料に回っていると思ったらやるせないけど、一族経営で誰も突っ込めない」「訴える場所もない」「労働者と経営者という平等ではない立場だけで成り立っているから。労働環境を監視する第三者が必要なのでは」
「若者が政治に関心がないといわれるけど、若者政策がないし、魅力がないから若者は見ない」「若者は討論にも慣れていないから、大人から論破されるとやる気がなくなる」「沖縄の人が自分たちで自分たちのことを決められないこともあるかも。基地問題などは誰がリーダーになってもどうにもならないことを感じているのかな」
各グループではいろんな体験、思いや意見が飛び出し、まとめ役として1人ずつグループに入ったキリ学生からは「まとめるの難しいです…」との本音も漏れました。が、最終的に各グループがまとめた提案はどれも現実味と説得力があり、満場の拍手が送られました。
「原因分かると解決にも向かう」
「知りたいこともっと増えた」
社会人の仲里全仁さん(25)は「給料が安くてもいつも『しょうがないね』で終わっていた。原因が分かると解決にも向かう。考える機会になった」と手応えをつかんでいました。最初は遠慮がちでしたが最後には生き生きと話し合っていた学生の仲程未希さん(19)は「自分たちの知識のないところや昔のことを大人が教えてくれた。知ったから、知りたいことがもっと増えた」、神本杏奈さん(19)は「基地問題などは友達とも話さない。先輩とつながって、思っていることや疑問も話せた」と言葉を弾ませ「自分から投票に行きたい」ときっぱりと声をそろえました。
若者をフォローしながら発言していた40代の男性は「ブラックバイトなどがここまで深刻だとは思わなかった。その視点で政策を読むと確かに若者向けのものが少ない」と多様な立場の人が語り合うことの大切さを指摘しました。
「選挙は大事だと思うけどよく分からない」という若者たちに役立つ情報が届くように、大人からは見えづらい若者の声が社会に届くようにと始めたこの企画。現在たくさんの学校や団体が、この記事を使って授業や若者の声を集めるムーブメントを始めています。
声を出すのは選挙前だけではありません。県知事選、そしてこれからの社会を創る多様な動きを「みんなごと」に。引き続き琉球新報に皆さんの声をお寄せください。
活動を振り返る
午前中は映画「コスタリカの奇跡」を鑑賞した。中南米コスタリカは軍隊を撤廃して教育や国民の生活に財源を回すことに成功。鑑賞後は気になった部分などを学生同士で話し合った。
午後は琉球新報の新垣毅政治部長に選挙と基地の問題を話していただいた。候補者を選ぶ時に注目しなければならない点を知り、基地問題では日常に潜む問題に気付かされ、沖縄の現状に危機感を感じた。
(国仲梨月)
沖縄の課題を分野ごとに挙げ、原因は何か? なぜ解決しないのか? 自分たちの体験を踏まえて議論を深めた。最後に学生目線で両候補者へ12の質問を考えた。
沖縄の問題はひとつひとつが複雑に絡み合っており、現状を深く知れば知るほど暗い気持ちになった。私たちにできることは何だろう? まずは普段の会話で、素朴な疑問を出し合っていくことではないかと思った。
(照屋葉月)
以前はテレビで政治の話をしていても流し聞きしがちだったが、両候補者を目の前で見て話を聞くことですごく引き付けられた。
最初から最後まで聞くことで、両候補者がどう沖縄を変えていきたいのか、何をしたいのかを知ることができ、私たち一人一人の1票が沖縄の将来を変えていくんだと実感した。若い世代が政治家の話を実際に聞く機会の大切さ、必要性を感じた。
(上原唯)
訪れた那覇の自民党県連の建物を見て、自民党の存在のデカさを実感した。最初は緊張して声も震えたが、担当の金城さんは優しく分かりやすく対応してくれた。自分の足で訪れ、政治関係の方とお話しする機会は少なく、とても貴重な経験になった。
課題の優先順を聞いた時「県庁は巨大な組織で一気に複数の課題に取り組める」との答えに、県庁のすごさを感じた。
(知念ゆかり)
琉球新報社で翁長雄治さんに面談させていただいた。翁長知事の息子さんということでとても緊張したが、お会いしてみると「地元の優しいお兄さん」というアットホームな雰囲気だった。自身の体験談を踏まえて分かりやすく話してくださり、世代が近いことから私と似た思いや苦悩を共有することができた。
「困った時は気軽に相談してね」という言葉に政治家を身近に感じた。
(阿利斎生)
■ 私たちの感想 ■
いっちゃん(21)
「政治について話すのは楽しいことなんだ!」と気付けたのが一番の収穫。この「ありのまま安心して話せる場」を他にも広げたい。
よしみ(20)
翁長知事の死から何か行動しなくてはという気持ちで始め、政局と政策の違いすら知らなかった自分が周りと意見交換している。同世代に広げていきたい。
もーも(21)
政治はみんなの生活に幅広く関わるからこそ、周りの人との共通の話題であり、意外なほど気軽に話せるものなのだと気付いた。
かれな(22)
県外遊学中につき休憩中
りっちゃん(22)
当初「政治って難しい」と思っていたが、進むにつれて小さなことでも政治につながっていると分かった。自分の成長を実感中。
りこ(22)
13日の参加者数やSNSから反響の大きさを実感。大人も参加してくれてうれしい。もっと若い世代に広がってほしい。
かーりー(20)
カメジローの演説には若者もたくさん集まったそうだ。この企画を通してそんな革命を起こしたいと思った。政治家と若者はお互いに向き合ってほしい。
はーづー(25)
政治の理解を深めたいという「じぶんごと」から「気軽に話せる場を増やしたい」という「みんなごと」に意識が変化。対話を通して政治に向き合いたい。
若者の皆さん、県知事選への疑問や要望を「りゅうちゃんねる」までお寄せください。
アクセス方法
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