県議会(新里米吉議長)は20日午前、臨時会を開き、地方自治法に基づき住民から県知事に条例制定が直接請求された「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例案」と、県民投票の必要経費5億5139万円を盛り込んだ補正予算案を、知事職務代理者の富川盛武副知事が議会に提案した。
提案理由の説明で富川副知事は、県民投票の実施を求める有効署名数が必要数を大きく上回る9万2848筆に達したことを踏まえ「県民投票を通じて埋め立ての賛否についての意思を表明し、その結果を県政に直接反映させたいという思いの表れと考えている。翁長前知事は『今回の県民投票は意義がある』と述べていたが、私も同様に意義があるものと考えている」との見解を示した。
提案理由に続き、署名活動に取り組んだ「『辺野古』県民投票の会」の元山仁士郎代表ら4人が意見陳述し、県民投票の目的などを訴えた。
元山代表は「沖縄本島のみならず島々の人がどんな意識を持っているか聞きたいと回った。全市町村で法定要件の2%を上回る署名を集めることができた。あらためて基地問題への関心の高さを実感した」と経過を説明した。その上で「意見が割れる埋め立てについて有権者が判断材料を得て、議論をし、意思を示すことが民主社会にとって、沖縄の未来にとって大事なことだ。条例案が可決され、県民投票の早期の実施を望む」と述べた。
条例案は米軍基地関係特別委員会、補正予算案は総務企画委員会に付託され、同日午後から審議が始まる。与野党の議論は20日以降も継続し、条例案の採決は知事選後となる見通し。
臨時会は8月8日に翁長雄志知事が死去して初めて開かれる本会議となり、開会冒頭に全体で黙とうし、知事の席には花がささげられた。【琉球新報電子版】