台風が沖縄知事選を直撃 繰り上げ投票、離島で開票、ポスター撤去も


この記事を書いた人 アバター画像 宮里 努
台風接近のため、沖縄県知事選挙で投票日を繰り上げる地域が拡大している(写真と本文は直接関係ありません)

 沖縄知事選投開票日の30日にかけて台風24号が沖縄地方に接近することで、開票作業に支障が出ないよう投票を早める繰り上げ投票の地域が拡大している。県選管は、既に開票所まで投票箱を運ぶ手段がなくなった一部離島で、本来の開票所と別に島内でも開票を行う「分割開票区」方式による開票を検討している。気象台によると台風は選挙戦最終日の29日に本島に最も近づく。各候補者の打ち上げ式など街頭の選挙活動ができなくなる恐れが見込まれる中、多くの市町村は安全対策として27日にポスター掲示場の撤去を始める。投票当日の悪天候を避けた期日前投票も急増、選挙日程が実質的に前倒しとなる影響が出ている。

 台風の接近により開票所まで投票箱を運べなくなる事態を避けるため、竹富町全域とうるま市津堅島では27日に繰り上げ投票が実施される。投票締め切り後、27日中のうちに開票所がある石垣島と本島に投票箱を輸送する。

 本島と橋で結ばれるうるま市の平安座島、宮城島、浜比嘉島、伊計島、今帰仁村の古宇利島、本部町の瀬底島でも、島内の投票を28日に繰り上げることを決めた。台風の影響で29日から橋が通行止めになる見込みのため、28日のうちに投票箱を開票所に運ぶ措置を取る。

 一方、南城市の久高島、宮古島市の大神島では26日で定期船が止まり、既に県警や海上保安庁、陸上自衛隊のヘリコプターでも輸送が難しい状況となっている。繰り上げ投票は行わず予定通り30日に島内で投票を実施するが、台風の影響で引き続き船が出ず、開票所のある本島や宮古島に投票箱を届けられるのは翌10月1日以降となる可能性がある。

 その場合、南城市と宮古島市では投票箱が全てそろうまで、市全体の開票が延期される。同様に投開票日に台風が接近した2017年の衆院選では久高島、津堅島、阿嘉島、慶留間島からの投票箱が開票所に届けられず、南城市とうるま市、座間味村で全体の開票が翌日となる影響が出た。

 一方、公職選挙法は「特別の事情があると認めるとき」には開票所を別に設置できるとしている。県内では実施された例はないが、総務省によると、17年衆院選で長崎県佐世保市の離島で開票所の分割が行われた事例があるという。

 県選管は「分割開票区の設置は、開票管理者や立会人を島で確保できるかや、開票作業を徹底できるかといった検討が要る。できるだけ開票に影響を出さない方向で、市選管と連絡を取りながら対応を慎重に判断していく」と述べた。