教育
沖縄から育む市民力

<沖縄から育む市民力>6 センキョ、子どもも考えた

 社会参加の力を付けるための授業を紹介する琉球新報・沖縄キリスト教学院大学の共同企画「沖縄から育む市民力」。今月は30日の県知事選に向けて、選挙年齢に満たない子どもたちが地域住民の一人として意見を発信した取り組みを紹介する。沖縄の新しいリーダー候補や、リーダーを選ぶ投票権のある大人たちへ、力ある授業者が引き出した子どもたちからのメッセージをどうぞ。




■翔南小 ルール、私たちが決める

 みんなで何かを決める時に大切なことを考える授業に25日、翔南小学校(南風原町)の5年生が取り組んだ。かこさとしさんの絵本「こどものとうひょう おとなのせんきょ」を読み、感想を話し合う中で知事選について声が上がり、沖縄の未来のため大人に伝えたいことを考えた。


自分で考えた「大人に伝えたいこと」をグループで発表し合う5年生たち=25日、南風原町の翔南小

 絵本では、野球や鬼ごっこなど多様な希望が出る中、広場の使い方を子どもたちが決めていく様子が描かれる。「少数でも、いい考えはみんなで大事にする」「自分の頭で判断して動かないと、どんないいことも長続きしない」などのメッセージが込められている。これを読んだ子どもたちは「大人が子どもの遊び場をつぶしてマンションを建てた。腹が立った」「保育園の時、多数決で数の多い人が好き勝手をして嫌だった」など自分たちの経験を思い出しながら感想を丁寧に言葉にした。

 中には「県知事選の候補者は本当に沖縄の人の幸せを考えているか心配」「子どもは選挙に行けないが、みんなで協力して決めることが大切」といった声も上がった。これらを受けて屋良真弓教諭は「みんなの意見を大人に伝えてみよう」と呼び掛けた。川畑陽菜さん(11)は校内ルールを例に挙げ「子どもが決められることは自分たちで決めたい。大人だけに任せず、子どもも一緒に決めた方がいい」と話した。

 屋良教諭は「学級会などの話題で終わるかと思ったが、予想以上に話題が広がり、深まった」と子どもの力に驚き「民主主義という概念を手にすることで、日々の生活で感じたり話したりしている出来事の捉え方が変われば」と期待した。

~ 児童の声 ~

◇選挙に行ける大人は全員行ってほしい。

◇子どもと大人が話し合える場所がほしいな。

◇自然がいっぱいで、伝統文化が残るといいな。

 


 

■コザ高 候補者への要望 LINEで投稿


記事を読み、県知事選へ自分たちの意見や要望をLINEで琉球新報社に送ったコザ高2年生

 新聞記事を使った授業が沖縄市のコザ高校で行われた。選挙年齢の18歳を来年に控えた2年生たちが5日、他校の生徒が知事選候補者への提案をまとめた記事を読み、「教育」「基地」「医療」などのキーワードから自分たちの関心事項に順位付けをした。

 14日にはさらに「#みんなごと」の記事で2候補者の政策を読んで1人ずつ要望や質問をまとめ、県民の意見を募集している琉球新報社にその場でそれぞれがLINEで送信。画面に「既読」が表示されると生徒たちからは「読まれてる!」と歓声が上がった。

 生き生きとした生徒たちの姿に、授業をした我如古香奈子教諭は「学校での学びが実生活と結び付くことの大切さを学ばせてもらった」と手応えを語った。


~ 生徒の声 ~

◇通学に使うバスが不便。交通を改善してほしい。

◇選挙のことをもっと分かりやすく伝えて。将来のためにちゃんと知りたい。

 


 

■糸満中 自分の優先課題は


新聞記事を読んで自分たちの要望をまとめた糸満中2年生

 県知事選に向けて大学生たちが候補者の公約に耳を傾け、自分たちの要望をまとめた琉球新報の企画「VOTE! #みんなごと 若者たちが考える県知事選」。糸満市の糸満中学校はこの記事を活用したミニ特設授業を行った。

 授業では、大学生が候補者の政策を大学生目線で選んで比較した「#みんなごと」の記事に加えて、公約が書かれた一般の記事も読み込んだ。「基地」「経済」など7つの分野を自分にとって大切な順に並べ、一番重視する分野で具体的な要望を考えた。

 授業をした内山直美教諭は「生徒も知事選に興味を持っている。有権者となる4年後に向けて選挙が『自分ごと』になっていた」と手応えを語った。


~ 生徒の声 ~

◇勉強に集中できるようクーラーを設置してほしい。

◇ごみ問題や地球温暖化の対策に取り組んでほしい。

◇貧困対策をしてほしい。

 


 

■アミークス幼稚園 リーダーの役割って?


自分たちの希望を出し合い、大きな作品にまとめた沖縄アミークスインターナショナル幼稚園の子どもたち=うるま市の同園

 沖縄アミークスインターナショナル幼稚園(うるま市)は年長の5歳児クラスが「リーダーって何だろう」と役割を考えるところから取り組みを始めた。

 8月、翁長雄志知事の死去が子どもたちの話題にも上ったという。「新しいリーダー選びが始まる。子どもたちにも考えてほしかったけど、まだ難しかった」と教頭のウェッブ・サエコさん。

 「『自分が』『自分が』といつもけんかをしてしまう」という子どもたちにとって、9月21、22日に行われたお泊まり保育がリーダーの役割を学ぶ大きな場になった。

 2クラス28人の子どもたちは5グループに分かれて活動し、食事のカレー作りなどを体験した。その中でいろんな意見を持つ子どもたちが一緒に活動するチームワークや、友達の意見を大切にしながらグループをまとめるリーダーの役割を学んでいったという。

 そして今週「沖縄全体の新しいリーダーさんがもうすぐ決まる。どうしてほしい? どんな沖縄にしたい?」と呼び掛けた。南部戦跡を訪れたことがある子どもは「むかし沖縄で戦争があった。カタツムリとか食べてかわいそう。平和にしてほしい」、外遊びが大好きな子どもは「月までつながる滑り台がほしい」などそれぞれの経験や生活から生まれた思いを語り、大きな作品を仕上げた。

~ 児童の声 ~

◇爆弾が落ちるのが怖い。戦争をしないで。地球の周りを平和にしてほしい。

◇遊具を増やしてください。

◇貧しい人がいなくなるように。

 


 


ワークシート

 


①感想用紙


クリックで拡大・ダウンロード(PDFファイル)

②授業概要


クリックでダウンロード(Wordファイル)