台風再来 県民ため息 25号 物資不足、農漁業打撃


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
約1週間ぶりの商品入荷に、生鮮食品などを求める買い物客であふれかえるスーパーの店内=3日午後、宮古島市平良のV21カママヒルズ食品館

 沖縄本島で大きな爪痕を残した台風24号に続き、非常に強い台風25号が沖縄地方に近づいているのを受け、県民からは「またか」「もううんざりだ」とため息が漏れた。各離島では食料品の不足が続くなど住民生活への影響が深刻化している。マリンレジャー従事者や漁業者、農家からは「営業上、かなり厳しい」などの声も上がる。9月29日から停電が続く本島では、台風25号の接近で新たな停電が生じるのではないかと、不安を募らせている。

 4日に暴風域に入る見込みの宮古島市では3日、約1週間ぶりに入荷した食料品などを買い求める客でスーパーは混雑した。各店とも普段より商品を多めに仕入れて対応した。

 サンエーV21カママヒルズ食品館には朝から多くの買い物客が詰め掛けた。買い物に訪れた宮古島市の70代女性は「魚や肉などは停電で冷蔵庫が止まると駄目になる。(台風に)振り回されて大変」とため息まじりに話し、大量の野菜を買い物かごに入れていた。興那覇正博店長は「3日は来週まで入荷できないと見越して、かなり多めに仕入れている」と話した。

 一方、空路がない粟国村や渡名喜村、渡嘉敷村、座間味村では相次ぐフェリーの欠航で生鮮食品の不足が続いている。

 粟国村に住む40代の女性は「24号でしばらくの間、スーパーに牛乳や野菜がなくて大変だったのに、また船が止まってしまった」と困惑した様子で話した。渡嘉敷村では2日にフェリーが入港し、食料品など物資は届いたものの、すぐに売り切れたという。

 南・北大東村は、9月24日の定期船「だいとう」の入港以降、欠航や延期が続いている。島への入港予定は、早くても10月9日になる。

 村内の商店は、フェリーが出航予定日から4日以上遅れた際に、航空便輸送費を負担する補助事業を適用し、パン、牛乳、豆腐、卵の4品目に加え野菜を空輸で仕入れた。

 先週に続く台風接近に、漁に出られない漁業者やマリンレジャー関係者からは「かなりつらい」とのため息も漏れる。宮古島市内でマリンレジャー業をしている男性(42)は「無事過ぎ去るのを待つしかない」と力なく笑った。久米島町漁協の宮里真次参事は「先週からずっと漁に出られない。養殖車エビも20日以降に出荷を始める予定なので、台風25号が心配だ」と話した。

 農家にも不安が広がる。宮古島市城辺の畑で農作業をしていた男性(60)は「24号では少し倒れる程度で特に被害はなかったが、今回、風が逆向きだと被害が大きくなるかもしれない」と懸念した。