政治
ファクトチェック フェイク監視

ファクトの重み実感  知事選のツイート分析報道

琉球新報のツイッター分析報道の紙面

 9月30日の県知事選で、琉球新報は選挙取材班の「ファクトチェック」と同時に、SNS(会員制交流サイト)のツイッターに発信される内容を調べた。選挙の際にSNSで情報が大量に流れているのを漠然と感じていたが、今回の調査で、その投稿内容の傾向を知ることができた。

 若い世代の情報入手先は新聞やテレビ、ヤフーニュースなどの大手ポータルサイトでもなく、SNSになっている。自分と考えの近い人たちのつぶやき、共有したニュースから情報を得ている現状で、知事選を巡り、どのような情報が飛び交うか探りたかった。投稿を集める作業はネット上に書き込まれた事件や災害などの情報をリアルタイムで発信するスペクティ(東京、村上建治郎社長)に依頼した。

 一般ユーザーの投稿について、内容が肯定的か否定的か、正確に把握するには一件一件読んだ方が確実だと判断した。

 9月9日~同29日に発信された投稿のうち、リツイート(再投稿)分も含め約20万件以上に目を通した。初回の分析では夜通しで半日以上かかった。

 特定の候補者を批判、攻撃する内容が多いとは思っていたが、露骨な誹(ひ)謗(ぼう)中傷を含めた攻撃、批判の内容がほとんどだったため驚いた。約9割は玉城デニー氏に対する内容だった。政策や沖縄の課題を議論するやりとりや互いの支持候補を褒める内容は少なかった。

 人の悪口を大量に読むのは気が滅入ったし、単調で膨大な作業の途中、何度も眠気に襲われた。しかし過激な内容が目を覚まさせた。「玉城デニーは中国のスパイ」「裏に中国共産党がいる。沖縄が破壊される」などだ。

 候補者本人の投稿のリツイート(再投稿)数が多い人も分析した。佐喜真淳氏のリツイートが多い上位を見ると、プロフィル欄に「日の丸」をあしらい、普段から「ネトウヨ」とみられる内容の投稿をしている人が目立った。

 一般の投稿では新聞や雑誌、ネットメディアが特定の候補者に関する内容を掲載した際、リツイートを含め投稿数が飛躍的に伸びた。琉球新報が行ったファクトチェックの記事も拡散が見て取れた。どれだけフェイクニュースを打ち消すことができたのかは不明だが、一定の効果はあったのではないかと思う。

 情勢分析もしたかったが、玉城氏への攻撃、批判がほとんどを占めたツイッターでは難しかった。インフルエンサー(情報拡散力の強い人)の確認も試みたが、今回の分析では情報が整理できなかった。

 スマホがこれだけ普及し、誰もがSNSで気軽に発信でき、情報を得ることができる時代になった。SNSを意識して有権者が求める分かりやすい記事を書いていくことも、報道機関には必要だと実感した。(デジタル編集担当部長・宮城久緒)