“圧政”象徴 菅氏に注目 県民葬で弔辞 米統治下に重ねた翁長氏


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 辺野古新基地建設阻止の志半ばで倒れた翁長雄志前知事の県民葬が9日に開かれる。翁長県政と対立を深めた政府からは、安倍晋三首相の代理として菅義偉官房長官が出席し、弔辞を述べる。沖縄基地負担軽減担当相としても沖縄の基地問題に深く関与してきた菅氏だが、辺野古移設を「粛々と進める」と繰り返す姿勢に対して、生前の翁長氏は米国統治時代のキャラウェイ高等弁務官の“圧政”と重ねて厳しく批判した。

 県民葬は6月23日の沖縄全戦没者慰霊式典と同じ一般参加の式典となるだけに、辺野古問題を巡って翁長氏を厳しい状況へと追い込んだ菅氏の出席に抗議の声が上がることも予想される。実行委関係者は「昨年の大田元知事の県民葬にも首相が参列した。翁長氏と対立した政府要人を招くことへの県民の気持ちは分かるが、礼を失するわけにいかない」と複雑な思いだ。

 翁長県政の継承を掲げて当選した玉城デニー新知事が県民葬の実行委員長として式辞を述べる。第4次安倍内閣で沖縄担当相として初入閣した宮腰光寛氏は県民葬出席後に県庁を訪れ、玉城知事と面談する。知事として初の閣僚との面談となる。

 一方、日程の都合上、9日は菅官房長官と玉城知事との個別の接触はない見通しだが、玉城知事が10日以降に予定する就任あいさつで首相や官房長官との初対面が実現するかが焦点となる。菅氏は先の知事選で前宜野湾市長の佐喜真淳氏を支援するため、政権ナンバー2として異例とも言える強力なてこ入れを展開した。玉城新県政の下で営まれる県民葬で、どのような内容の弔辞を述べるか注目される。