沖縄の米軍基地問題の解決を全国に訴え、振興政策や福祉の向上にも尽力した翁長雄志前沖縄県知事=享年67=の県民葬(県などの実行委員会主催)が9日午後、那覇市の県立武道館で営まれた。主催者発表で3千人が参列。米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設阻止の公約を貫き、在任中の今年8月に急逝した翁長氏との最後の別れを惜しんだ。実行委員長の玉城デニー知事が「県民は翁長雄志さんの遺志を引き継ぐ」との式辞を述べ、「平和で豊かな誇りある沖縄」の県づくりの継承を誓った。
県民葬には政府から菅義偉官房長官が出席し、安倍晋三首相の弔辞を代読した。菅氏は、沖縄の過重な基地負担を全国に訴えてきた翁長氏の政治姿勢に触れ「政府としても基地負担の軽減へ向け一つ一つ結果を出していく」と述べた。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を推進し、翁長県政と激しく対立してきた菅氏のあいさつに対し、一般参列者席からやじが飛び、騒然となる場面もあった。
会場の県立武道館アリーナには招待者、一般参加者合わせて2400席が用意されたが、会場に入りきれない多くの一般参列者が外の仮設テントで式典の中継映像を見守った。式典では玉城知事の先導で、翁長前知事の妻樹子さん、長男雄一郎さんが遺影と遺骨を持って入場。参列者全員で黙とうをささげた。
城間幹子那覇市長、石嶺伝一郎県経済団体会議議長、友人代表の呉屋守将金秀グループ会長も弔辞をささげた。
沖縄県民葬は屋良朝苗、西銘順治、大田昌秀の歴代知事に続いて4回目となった。県と県議会、県市長会、県町村長会、県経済団体会議など8団体で構成する実行委員会形式で開催した。