米軍ヘリ炎上から1年 高江で騒音被害増


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 【東】東村高江の民間地でCH53E大型輸送ヘリコプターが不時着・炎上した事故から1年。現地では、事故後も米軍ヘリによる民間地上空での低空飛行訓練が繰り返されており、夜間訓練が行われることも珍しくない。騒音も増加しており、同区の仲嶺久美子区長は「考えられない。配慮が足りない」とうんざりした表情で語った。

米軍ヘリの炎上現場を指さし、事故前と事故後の米軍の訓練が変わらないことを訴える西銘晃さん=9日、東村高江

 事故後、沖縄防衛局は高江区内に設置していた航空標識灯をヘリが炎上した牧草地の近くにも追加で設置した。標識灯は米軍機が集落上空を飛行しないよう促すものだが、牧草地の所有者、西銘晃さん(65)によると、「設置しても何も変わらない」と言う。異常に近づく機体もあり「現場の状況を見るためなのかと思うぐらいの低空飛行もある」とあきれた。

 米軍機の低空飛行は事故現場から直線で約7キロ、国頭村安波ダムの上空でも確認されている。その様子を目撃したというチョウ類研究家の宮城秋乃さんは「県民の水がめの上を低空で旋回していた。落ちたら県民の飲み水に影響が出る。非常に危険だ」と危機感をあらわにした。

 東村議会は今年6月、高江集落に近く、米軍北部訓練場内にあるN4ヘリコプター発着帯(ヘリパッド)2カ所の即時撤去を求める意見書と決議文を全会一致で可決した。村議会が「即時撤去」に初めて踏み切った。米軍機の訓練による住民へ
の影響が深刻化していると捉えた。

 仲嶺区長は村議会の「即時撤去」決議を喜ぶ。その一方で、不安を払拭(ふっしょく)できないでいるという。「これまでいくら抗議をしても、米軍は要請に耳を傾けてこなかった」

 高江住民の負担は一向に軽減されず、米軍機に悩まされる日々は事故から1年たった今も変わらない。
 (友寄開)