喜友名形V、年間王者 空手プレミアリーグ 上村、金城と団体も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
(左から)喜友名諒、上村拓也、金城新

 空手のプレミアリーグ今季最終戦となる東京大会は14日、東京武道館で最終日を行い、男子形で沖縄県出身の喜友名諒(28)=劉衛流龍鳳会=が本一将を5―0で圧倒し栄冠をつかんだ。喜友名は同リーグ年間王者に輝いた。喜友名は金城新(26)=同、上村拓也(26)=同=と一緒に日本代表チーム1として出場した形団体でも優勝し、個人、団体の2冠に輝いた。

 女子形団体では宜保ありさ(安岡中―宮崎第一高)が所属する同志社大学は決勝で日本代表チーム2に敗れ、準優勝だった。

◆喜友名、世界の武/「動と静」追随許さず

 会場中の空気を震わせ、打ち砕くような手や腕、足のさばきと、直後に訪れるピンと張った糸のような静けさ。動と静の交互の動きで会場も魅了した喜友名諒(劉衛流龍鳳会)が他の者を寄せ付けない迫真の演武で、空手1プレミアリーグ男子個人形3連覇を達成した。

 決勝は劉衛流最高峰の技「アーナンダイ」で臨んだ。昨年のパリ大会で初めて披露した技で規定上国際大会でしか披露できない高難度の技だ。本一将に5―0での完勝。「試合を重ねていくごとに身に付き、進化していると感じる。気持ちだけ先走るのではなく、技も一体となって付いてきてくれた」。世界王者がさらなる成長を実感する大会となった。

 「国際大会の今回、日本で見せることができて良かった」と国内大会では制限される技での頂点に笑顔を見せた。師匠の佐久本嗣男氏も「大会を重ねるごとに成長し、体も引き締まっている」と評価。その上で「コートを最大限活用した演武を研究する必要がある」と技の追求を求める。

 プレミアリーグベルリン大会、アジア大会に続いて東京五輪に向けたポイントを積み上げ、五輪出場の最有力選手として一層、名を高める。

 同リーグ全7戦で5大会に出場し、4勝。初めて年間王者にも輝いた。「一つ一つの試合が五輪につながっている。しっかり取っていき、五輪でも一番いい色のメダルを取る」。照準をしっかり定め、心技体を磨いていく。
 (知念征尚)

◆本場の力見せつけ/団体形男子V

 金城新(劉衛流龍鳳会)、上村拓也(同)、喜友名諒(同)の3人で組んだ日本代表1が男子形団体を制した。形での県勢の強さをあらためて世界に見せつけた。

 決勝では「アーナンダイ」を披露した。上村は「演武する回数も増え、場慣れもしてきた。前よりは落ち着いてできている」と感触を語る。金城は「自分たちらしい攻めの形ができた」と笑顔で大会を振り返った。

 だが、日本代表2と対戦した決勝は4―1という判定結果に。3人とも心残りがある様子で、金城は「まだまだ自分たちの中でも満足できていない部分がスコアにも表れた。佐久本嗣男先生の教えをしっかり身に付け、来月の世界選手権では全試合5―0で勝利を目指す」と完勝へ向け、次を見据えた。