待望の登録へ宮古島歓喜 パーントゥ無形遺産 活性化に期待も


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宮古島市上野野原の「サティパロウ(里払い)」

 【宮古島】ユネスコ無形文化遺産への登録の見通しがついたことを受け、行事を行う宮古島市の地元や市関係者からは「宮古島の誇りだ」などと喜びの声が上がった。

 子どもがお面を着け、集落内の悪霊などを追い払って厄よけする「サティパロウ」を行う市野原の渡久山隆野原部落会長は「登録が決まるのであれば、こんなにうれしいことはない」と顔をほころばせた。「推薦から数年が経過しており、ようやくという感じだ」と語った。少子化による後継者不足にも触れ、「子どもが主役の行事なので、この登録を機に野原の出身者をはじめとした若い世代の人たちが戻ってきて、地域が発展してほしいという願いもある」と期待を込めた。泥を身にまとった来訪神が、人や物に泥を塗って厄払いする「パーントゥプナハ」が行われている市島尻の宮良保自治会長は「正式な登録に向けての一歩前進だ」と喜びつつも、「現時点で文化庁からの正式な通知がないので、これ以上はコメントできない」と述べるにとどめた。

 下地敏彦市長は「宮古の大きな誇りだ」と喜ぶ。「登録されれば、宮古島の古い文化を世界的に紹介する契機になり、クルーズ船などで来島する海外の観光客にも歴史ある島だとアピールすることができる」と強調。「ただし、行事に参加する時には、ちゃんと泥を塗られることを覚悟して来てもらいたい」と付け加えた。

 「この数年間ずっとアピールしてきた中で、兆しが見えた。大変喜んでいる」と話すのは宮古島市教育委員会の宮國博教育長。「地域の人たちが長年にわたって守り続けてきた文化であり、それが認められる喜びは大きい」と話した。