FC琉球J2に王手 次戦引き分け以上で昇格


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琉球―長野 力強いシュートを放つ琉球の枝本雄一郎=28日、長野県長野市の長野Uスタジアム

 サッカーの明治安田J3の第29節、2位以下を引き離してトップを走るFC琉球は28日、長野県長野市の長野UスタジアムでAC長野パルセイロと対戦し、1―1で引き分けた。ロスタイムに失点したが、その直後に朴利基のシュートで追い付いた。琉球の戦績は18勝6分け4敗で勝ち点を60とした。

 この試合でのJ2昇格確定はならなかったが、J3参入5年目の悲願の優勝、J2昇格に王手を懸けた。ザスパクサツ群馬とのホーム戦(11月3日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム)で、琉球が引き分け以上ならば、自力優勝と昇格が同時に確定する。

 琉球はこの日、動きに硬さがあった。持ち味のパスサッカーはつながらず、長野に優勢に進められた。後半は決定機を得たが、ゴールポストにはじかれるなどした。終了数秒前に枝本雄一郎の押し上げを生かして得点し、勝ち点1をつかみ取った朴は「結果を残したかった。決めることができてうれしい」と喜んだ。

土壇場、朴利基押し込む

 4分と表示されたアディショナルタイムも残り1分を切った。0―1、長野サポーターは勝利を確信し、喜ぶ声も聞かれた。だが琉球の選手たちは諦めていなかった。ゴールキックは朴利基へつながり、朴から枝本雄一郎へ。枝本が思い切り振り抜いたシュートは、相手DFに跳ね返ったものの、ゴール前に駆け込んでいた朴が押し込んだ。

 後半37分から出場し、意地の一発でチームを盛り返した朴。「交代した10分間で、いかに結果を残すか考えていた。運よくこぼれ球が来た」と喜んだ。

 3000人近い長野サポーターがスタンドをオレンジ色に染めた。会場が一体となったアウェーの状況に、GKの朴一圭主将は「最初は硬さが出た」。精彩を欠いた琉球は、長野に攻め込まれた。

 後半は勢いを取り戻し、一進一退の攻防を繰り広げるが、ロスタイムに失点し絶体絶命のピンチに。GKの朴は「このままで終われない。(リスクを背負っても)攻め続ける」。終了間際、バックパス時に相手DFがプレスをかけに来ても、ドリブルでボールを運び、前線に素早く確実にパスを出した。

 金鍾成監督は「あの得点は後ろからつくられたもの。選手一人一人が判断し、成長したから結果につながっている」と同点シーンを振り返り評価する。GKの朴は自力で目標が遂げられる次戦について、「良い条件になった。サポーターの前でしっかり勝って(J2昇格、J3優勝を)決めたい」と力を込めた。
(喜屋武研伍)