子どもが非行に走る理由は? cocoro育teruの山田さんが講演


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非行の現状を説明するcocoro育teruの山田照子さん=17日、那覇市のパレット市民劇場

 沖縄県市町村教育委員会研修会がこのほど、那覇市のパレット市民劇場で行われた。県内各市町村の教育委員や教育長、教育委員会事務局職員など179人が参加した。研修では、道徳教育cocoro育teruの山田照子代表が登壇し、非行に走る少年の現状について話した。「私たちにできることは、子どもの心に寄り添い一緒に考え、悩むことだ」と訴えた。

 山田代表は、2003年から14年間、少年補導職員として県警察本部や各警察署で勤務し、非行少年や虐待された子ども、保護者などと向き合ってきた。非行少年について「関わりにくく怖いイメージがあるかもしれない。先入観があると、子どもたちをシャットダウンしてしまう。身構えずに接してほしい」と話した。

 男の子の非行の特徴は力や権力で存在を見い出そうとする粗暴行為が多く、女の子は必要とされる実感を自分に錯覚させる性非行に走る傾向があるという。山田代表は「物やお金が欲しいから非行をするのではない。不安や孤独と闘っていることを知ってほしい」と訴えた。

 非行少年や虐待された子どもは自己肯定感や自尊心が低く、自傷行為を繰り返すことがある。山田代表も子どもたちから「生きる価値ないよね」「死にたい」といったメッセージを受け取ってきた。そのときは「死にたいくらい悩んだときは、誰かに相談する選択肢も入れてみて」と伝えるという。「存在を認められると落ち着く。子どもの心の居場所をつくってあげることが大切だ」と述べた。

 北部地域から参加した教育関係者の60代男性は「教育というと、学力向上の話が挙がるが、その前に子どもとの関わり方を考える必要があると感じた」と話した。