<解説>
沖縄県浦添市の浦添運動公園に除草剤が散布された問題で「機械刈り又(また)は手刈り」と市が定めたルールを市自身が認識していなかった。虚偽報告を行った指定管理者と合わせ、市民の「安心、安全の軽視」と批判されても仕方がない。
松本哲治市長ら市幹部が1日、記者会見を開いた。「お詫(わ)び」「反省」を何度も口にし、土壌の徹底調査や再発防止を誓った。一方で除草剤を散布した業者に「憤りを感じる」と発言した。
会見後、担当課長は「だまされた」とも言った。しかし、農薬がまかれたことを知らず、公園を利用していた市民もだまされたことを忘れてはならない。
10月上旬には市民が枯れた芝生の写真を添え、市に農薬散布の事実を訴えていた。なのに市は、散布薬剤の安全性や散布方法の検証を怠り、業者の言うままに「無害」と発表した。松本市長が掲げる「市民の横に、市民と共に!」のキャッチフレーズとはかけ離れている。
市は「だまされた」では済まない。指定管理の在り方やチェック体制の、どこに問題があったか。市民の声を軽視したのはなぜか。命に関わる問題である。市は今回の対応の自己検証も含め、徹底調査と丁寧な説明が必要だ。
(真崎裕史)