【浦添】沖縄県浦添市の浦添運動公園(ANA SPORTS PARK 浦添)内の広場に除草剤がまかれた問題で、新たに浦添市内の別の公園でも周辺住民への事前の周知がないまま除草剤が散布されていたことが分かった。1日に指定管理者から市に報告があった。浦添市などによると、散布されたのは除草剤「グリホエース」。今年7月か8月に市内間の「内間西公園」ののり面に散布された。市は除草剤が散布された区域を立ち入り禁止にしており、近く土壌調査する方針。
浦添運動公園での除草剤散布を受け、市は市内107カ所の公園を4月から指定管理している浦添公園管理共同企業体に農薬散布の有無について確認した。同団体は市宮城のひまわり公園でものり面に除草剤を散布したと報告しており、2カ所でそれぞれ1回ずつ除草剤を散布したという。
浦添運動公園を除く市内の公園を所管する市ちゅらまち推進課は「斜面で作業員が転倒する事故があり、けがをしないように除草剤をまいたようだ」と説明した。今後は市全体で公園管理仕様を見直した上で、指定管理者に対して公園では原則として除草剤を使用しないよう通達する方針。
浦添公園管理共同企業体は本紙の取材に対し「公園では除草剤をまくべきでなかった。今後は作業員に周知徹底し、手や機械で刈りたい」としている。
農薬科学が専門の多和田真吉琉球大名誉教授によると、グリホエースは国が安全と認めており、広く農業などに使われている除草剤で「普通物」に分類される。一方、米国では裁判で同じ成分の除草剤を巡り「発がん性がある」と認めた判決が出たこともあるという。
県総、平和公園で使用
浦添市の浦添運動公園内での除草剤散布問題に絡み、県総合運動公園(沖縄市)や平和祈念公園(糸満市)など、県営公園の一部でも除草剤が使われていたことが2日分かった。
県都市計画・モノレール課によると、県総合運動公園内のユリ園で昨年秋、レクリエーションプールで今年3月に除草剤「ラウンドアップ」が散布されていた。散布時は柵で立ち入りを禁止した上、看板で周知したという。公園は2015年度から那覇市の共同企業体が指定管理。そのうち1社は浦添運動公園の指定管理者と同じ業者だった。
平和祈念公園では年1回、北側駐車場のフェンス沿いに除草剤「スーパーグリホ」が散布されている。指定管理の担当者は「除草剤を使いたくないが、予算面がネック」と話した。
同課は公園の管理ルールとなる「管理水準」で、「原則として除草剤は使用してはいけない」と規定している。さらに「除草剤を使用する際は県と業者が協議し、防護方法や利用者への周知の徹底を指導していく」とした。
他に、森林公園の県民の森(恩納村)や平和創造の森(糸満市)で、有毒植物が生えた場合などに除草剤が使われていた。いずれも掲示板などで周知の上、休園日に作業したという。
39市町村、原則使用せず
浦添市の運動公園内の広場に除草剤が散布された問題で琉球新報は2日、浦添市以外の各市町村に除草剤散布について調査をした。公園や競技場など不特定多数の人が利用する公共施設について、確認できた39市町村が「原則として手刈りや草刈り機による機械による作業を行っており、除草剤は使用していない」と回答した。
一方、恩納村教育委員会によると、浦添運動公園を指定管理する共同企業体が管理を担う同村赤間総合運動公園で、野球場の外野スタンド外の植栽帯と、サッカー場の防球ネットの外などで除草剤の使用が確認された。韓国プロ球団のキャンプに備え、例年10月に散布していたという。村教委は「『散布中』という看板を表示するように指示した」としている。
嘉手納町の野球場や陸上競技場、北谷町の野球場と陸上競技場、八重瀬町の東風平運動公園サッカー場は芝の管理のため除草剤を使用しているという。3町の担当者などによると「散布中」の看板を立てるなどして立ち入りの制限や周辺への通知などを行っている。
八重瀬町の西部プラザ公園の草刈り機が入れない斜面の一部で除草剤を使用。人の出入りができない場所だったため事前の通知はしていないという。
北中城村は1月に渡口多目的広場で看板の設置や立ち入り制限をし、外来種処理のため除草剤を散布した。西原町は4年前に小波津児童公園の遊具の入れ替えの際、除草剤を使用した。周辺自治会への事前通知や立ち入り制限を実施した。