磨いた技競う おきなわ技能五輪


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 沖縄県内初開催となる第56回技能五輪全国大会は3日、本格的に競技をスタートさせた。冷凍空調技術や配管、美容など技術の高さを競うものや、接客の手法などを評価するレストランサービスなど多彩な競技が実施された。選手らは上位入賞を目指し、日頃の練習成果やこれまで磨き上げた技術を存分に発揮した。

◇練習の成果を披露 美容・理容・フラワー装飾など

 県総合運動公園レクドームでは5競技が実施され、県勢は美容と理容、フラワー装飾、レストランサービスの4競技に出場した。選手らは競技ごとに設けられた課題やテーマに向き合い、会場を訪れた家族や同僚の応援も受けながら練習の成果を発揮した。

美容競技で熱心に課題作品に取り組む出場者=3日、沖縄市の県総合運動公園レクドーム

 理容ではクラシカルバックと呼ばれる髪型を完成させ、前髪にアレンジを加えることがテーマになった。選手らはドライヤーやブラシを使いこなし、こだわりのスタイルに仕上げていた。大育理容美容専門学校に通う大城雄大さん(19)と川満琢也さん(19)は「思い通りの仕上がりにはならなかった」と内容には満足していない様子だった。それでも、全国の選手たちと肩を並べて競技に臨み「今後につながるいい経験だ」と実感している。

 美容はウィッグを活用しながら独創性の高い髪型を作り上げた。選手らは真剣な表情でカットやカラーに取り組んだ。浦崎飛馬さん(17)=中部商業高2年=は「これほど大きい大会に出場するのは初めてで、すごく緊張した。明日(4日)も競技があるので納得できる作品に仕上げたい」と決意を込めた。

フラワー装飾で真剣な表情で作品作りをする大城花恋さん=3日、沖縄市の県総合運動公園レクドーム

 フラワー装飾では色とりどりの花を使い、一つの作品を生み出した。花屋で働くことを目指す南部農林高3年の儀間空さん(17)は「自分の思いを花で表現できるのがフラワー装飾の魅力だ。1位を狙って頑張る」と目を輝かせた。花屋「花時」(北中城村)に勤める才木凛音さん(19)は、敢闘賞を受賞した昨年に続き2回目の出場となる。「他の参加者の作品を見て『こんな花の使い方があるんだ』と勉強になることも多い。今年も頑張りたい」と意気込んだ。

 県勢5人が出場したレストランサービスでは、デザートやワインなど実際の飲食店と同様のメニューを提供し、来店者とのコミュニケーションや最後の見送りまでが評価された。選手らは一つ一つのサービスを確認し、丁寧な接客を見せていた。

◇互いの“腕”に熱視線 板金・配管・電工・空調など

「冷凍空調技術」の競技で機器や配管を施工する仲村海輝選手(手前)、山田泰雅選手(奥)=3日午前、沖縄市立総合運動場グリーンフィールド

 おきなわ技能五輪の沖縄市立総合運動場の会場では自動車板金、曲げ板金、配管、電工、自動車工、冷凍空調技術の6競技が行われた。そのうち4競技に県勢選手が出場した。会場には選手が所属する企業関係者や学生らが集まり、細かい手作業の熱戦に目を凝らした。冷凍空調技術にはアサヒプラント、三栄工業、東洋設備、桐和空調設備から6人が出場。冷凍空調機器の組み立てや冷媒が循環するための配管施工の技能を競った。県勢が隣り合ったブースで技術を競い合う場面もあった。

 配管には三栄工業、南部工業高、大川工業、ヤマウチ設備、美里工業高から5人が出場した。三栄工業の屋宜宣好さん(19)は南部工業高3年から3年連続出場で、開会式ではパイプの王冠をかぶって入場した。昨年は銅メダルに輝いたことから「今年はそれ以上を目指したい」と意気込んだ。

 電工には沖電工、沖縄工業高、パシフィックテクノカレッジ学院から4人が出場。電気設備の配線、配管の技術を競い、今回は配線などの配置が「首里城」をイメージした形状となった。

「電工」競技で電機設備の施工を進める(左から)名嘉竜輝選手、上杉航也選手、町田優也選手=3日午前、沖縄市体育館

 自動車板金にはOTMの我那覇純也さん(23)1人が出場。一枚の鋼鈑からオープンカーをイメージした形状をつくり、溶接して組み立てた。我那覇さんは「去年は最後までできなかったので今年こそは」と気を引き締めた。