県立博物館・美術館は7日、記者会見を開き、南城市のサキタリ洞遺跡(観光施設「ガンガラーの谷」内)の発掘調査で、県内最古となる約5500年前(縄文時代前期)の赤色顔料が確認されたと発表した。縄文時代前期は打製石器利用やイヌの飼育など、九州の文化が沖縄に伝わった時期と考えられており、田名真之館長は「沖縄での赤色顔料使用も、九州の影響を受けて始まった可能性がある」と説明した。
赤色顔料は「ベンガラ」とみられ、2011年度の調査で出土した。直径最大約9センチメートルの砂岩れき表面に広範囲に付着していた。県立博物館・美術館の担当者は「砂岩れきの表面で顔料をすりつぶすなどしたことも考えられる」と説明した。顔料の用途は不明。担当者は「土器への塗布やボディーペインティングに用いられていたのではないか」と推測している。
サキタリ洞遺跡の赤色顔料を分析する過程で、北谷町の伊礼原(いれいばる)E遺跡で04~05年度に出土した縄文時代前期の曽畑式土器の破片を分析したところ、表面から赤色顔料とみられる鉄の酸化物が検出されたことも発表した。
赤色顔料が付着した、サキタリ洞遺跡出土の砂岩れきと北谷町伊礼原E遺跡出土の曽畑式土器は12日まで、北谷町のちゃたんニライセンターで開かれている企画展で展示されている。22日から来年1月20日までは、県立博物館・美術館の特別展で展示される。