沖縄県内の鶏卵価格 低迷 県外産流通、農家に打撃


社会
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 県内で鶏卵の需給バランスが崩れ、鶏卵相場が低迷している。11月の県内市場価格(Mサイズ規格、キロ単価)は8日現在で平均220円になり、前年同月比で28円安を記録した。全国的に鶏卵の供給量が多い中で、県内の大手量販店が仕入れ先を県外に切り替え、県内で鶏卵が供給過剰になっていることが一因だ。現状が続けば今後も価格は低下するとみられ、鶏卵関係者からは戸惑いの声が聞かれた。

 県内の鶏卵相場は福岡の市場価格を参考に、輸送費などを加味し決まる。今年4~6月は全国的に供給量が多く、県内相場も例年より30円以上の安値を付けていた。日本養鶏協会の対策などで9、10月は回復基調に転じていた直後に、県内の量販店が一部の仕入れを県外に切り替えたという。県鶏卵協会(事務局・JAおきなわ畜産部)の担当者は「過剰分の売り先が見つからなければ、価格はさらに下がるだろう」と懸念する。

 生産コストが上昇する一方で価格は低下する状況に、本島南部の鶏卵農家は「ダブルパンチだ。このままでは沖縄の農家は生き残れない」と嘆く。「県内自給率は85%ほどで供給が満たせない申し訳なさもあるが、余る時も県外から仕入れれば、どんな状況になるかは見えているはずだ」と語気を強めた。流通業者の代表者も「JAと流通業者で需給バランスを保ってきたが、その機能がまひしてしまった」と懸念する。

 量販店の担当者は一部の仕入れ先を県外に切り替えたことを認めた上で「県産だけでまかなえない時期もある。(他社との価格の)差別化の意味もある」と答えた。 (大橋弘基)