基地予算 生活にじわり 給食や保育費、ハードにも 名護市


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岩屋毅防衛相(右)に要請書を手渡す渡具知武豊名護市長=10日、名護市喜瀬のザ・ブセナテラス

 名護市の渡具知武豊市長は10日の岩屋毅防衛相との会談で、前名護市政の間、交付されなかった米軍再編交付金約118億円に代わる予算措置を要求した。岩屋氏は再編交付金が過去にさかのぼって交付できる制度ではないことを踏まえた上で、13日の会見で「最大限対応したい」と検討する考えを示した。渡具知市政で再開された再編交付金は2026年度まで交付が続く見通しで、これに加え不交付分に相応する財政措置が決まれば「基地関連マネー」の存在感は一層強まりそうだ。

 米軍再編の進み具合に応じて支払われる再編交付金を受け取るためには、自治体が防衛省の進める再編事業に理解や協力姿勢を示すことが条件となる。米軍普天間飛行場の移設先となる名護市は07年度末に対象市町村となり、09年度までに約17億6千万円の交付を受けた。だが防衛省は移設に反対する稲嶺進市長時代に交付を止め、16年度までの約118億円が不交付となった。政府方針に協力的な渡具知市政になって17年度分から交付が再開されている。

 再編交付金の年度ごとの交付額は事業の進捗(しんちょく)などにより変動するが、防衛省がこれまで名護市に示した計画案では22年度に辺野古移設の工事完成を見込み、今後19年度から米軍再編特措法の期限が切れる26年度までに計約119億円が交付される予定となっている。

 これに加えて渡具知氏が今回初めて要請したのが、前市政で止まっていた不交付分を穴埋めする予算措置だ。再編交付金は過去にさかのぼって交付できる仕組みになっていないものの、防衛省関係者は「法律に書いていないことはできないので、他の方法を検討することになる」と語る。

 再編交付金はハードだけでなくソフト事業にも幅広く使え、名護市は再開された分を給食費や保育の無償化に充てている。市は不交付分の追加措置が認められれば、公共施設の再配置や総合運動公園の整備など市全域の振興策を見越す。新基地を受け入れた見返りとなる国の財政支援は、市民生活にじわじわと浸透している。
 (當山幸都、阪口彩子)