[知事訪米]距離置くアメリカ 壁厚く 初訪米は「半歩前進」 知事、当事者性を訴え


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訪米要請行動の日程を終え、記者団の質問に答える玉城デニー知事=14日夜、米ワシントン市内

 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設阻止を訴えようと、米国務省、国防総省関係者との初面談に臨んだ玉城デニー知事。知事選の圧勝という沖縄の民意を追い風にしたスピード訪米で、「日本の国内問題」と新基地建設を巡る問題に距離を置こうとする米政府に対し、「米国は当事者だ」と直接訴えたが、「壁」は厚かった。

 訪米中に行われた安倍晋三首相とペンス米副大統領の会談、そして玉城知事と米政府当局者の会談直後にも「辺野古は唯一の解決策」と、日米両政府は従来の見解を繰り返した。こうした日米のかたくなな対応にも玉城知事は「一喜一憂せず、常に沖縄の立場を説明し発信していく」と、「対話」を求める姿勢を貫くことをあらためて誓った。

 国務省、国防総省当局者との会談について「考えを伝えられたことは半歩なりの前進」と評した玉城氏。選挙で民意を何度示しても一顧だにしない日米両政府に、「米国と日本、沖縄における民主主義は違うものなのか」「当事者である日米両政府が今のような状況では、沖縄における日米安全保障体制そのものも揺らぎかねない」と警鐘を鳴らしたが、米政府との議論がかみ合うことは無かった。

 多様性の重要性や米世論を動かす行動を呼び掛けた講演、国連事務次長との会談ができたニューヨーク訪問を「快晴」、米政府の壁に直面したワシントンでの日程を「雪が降る前の曇り空」と総括した玉城氏。来年1月末から2月中にも実施を検討する県民投票や、世界の県系人ネットワークを生かした世論形成など、帰国後に「戦略はじっくり考えたい」と語った。