ホテルで夜間避難訓練 障がい者や外国人ら参加 全国初の取り組み 沖縄・那覇


この記事を書いた人 大森 茂夫
特殊な椅子に肢体に障がいのある宿泊客を乗せ、階段で避難する職員ら=27日、那覇市

 沖縄県那覇市の国際通りに近いホテルパームロイヤルNAHAで27日夜、外国人や身体に障がいのある宿泊客を対象にした珍しい避難訓練があった。主催した特定非営利活動法人バリアフリーネットワーク会議によると、夜間に外国人や障がい者が参加して実施されるのは全国でも初めてという。訓練では同会議やホテルの職員、消防隊員ら50人以上が日本人や健常者の宿泊客とは異なる救助需要や避難手段を一つずつ確認した。

 訓練は27日午後9時から約2時間、ホテル3階客室で発生した火災を想定して実施された。子ども連れの外国人家族や足を負傷した外国人旅行者のほか、視覚、聴覚、肢体にそれぞれ障がいを持つ人らが宿泊者役として参加した。

 夜間に災害が発生した想定のため、参加者は客室のベッドでくつろいだり寝ていたりした状態で訓練が始められた。

 救助に当たった職員はサイレンが聞こえず緊急事態に気付きづらい聴覚障がい者に対しては筆談で状況を伝え、手を取って素早く避難口へと誘導した。外国人に対してはジェスチャーを交えながら意思疎通を図った。訓練に協力した難聴の男性は「就寝時にサイレンがなっても聞こえない。職員が体を揺さぶり起こして誘導してくれたのは良かった」と評価した。ただ、緊急時は筆談は手間が掛かる上に理解しづらい時もあるとした。

 肢体障がい者の瑞慶山良さん(25)は「とてもスムーズで良かったが、サイレンが鳴って救助隊が部屋に到着するまでもう少し時間が短縮すればもっと安心できる」と指摘した。

 バリアフリーネットワーク会議の親川修代表は「世界中から人が集まる観光立県の沖縄だからこそ、多様な危機管理が求められる」と話し、今後も同様の避難訓練を実施していく考えを示した。