政治
座波幸代のワシントン報告

〈解説〉米識者らの米軍国外基地閉鎖要求 軍事緊張増大に危機感

 米国の研究者や軍の元高官、平和団体の代表らが垣根を越えて、海外米軍基地の閉鎖を求める文書を発表したのは、世界各地にある基地の存在自体が周辺諸国との軍事的緊張や反米感情を高め、米国の安全や世界の安全保障を脅かしているという懸念を共有しているからだ。

 世界一の軍事予算を誇る米国だが、沖縄をはじめ国外の米軍基地建設や維持に多額の予算を使う一方、国内の教育や福祉への予算が減らされている。この現状に対し、有識者らは文書を発表することで、米国世論の喚起や納税者の意識を高める効果を狙う。

 文書の発表を主導したデイビッド・バイン教授は米国の外交軍事政策や基地、人権問題などを研究している。沖縄の米軍基地問題についても「最も効果的なのは経済的な視点だ。米国民の税金が自分の地域の学校や道路建設ではなく、沖縄の米軍基地に使われているという視点で議論することが一つの鍵になる」と指摘している。

 文書では、米軍技術の高度化により、海外に基地を置かなくても米本国から迅速な対応が可能だとしている。一方でローレンス・ウィルカーソン元陸軍大佐は在沖縄米海兵隊に関し、米軍駐留経費の日本政府の負担率が高いことから「米国内で維持するよりも安いという事情がある」と指摘した。日本政府の多額な駐留経費負担は米軍にとって都合が良く、沖縄にある基地の閉鎖、縮小を阻んでいることが改めて浮き彫りになった。 (座波幸代)