〈解説〉学童の防災対策 行政は「主体」自覚を


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 国は2015年に学童の質の平準化を目的に、設備と運営の基準を示した。その基準を基に市町村は条例を定めるが、防災については「参酌基準(参考にすべき基準)」としており、義務とはなっていない項目が多い。学童の現場に必要な防災対策は、市町村の裁量で解釈に差が出ていることが今回のアンケートで明らかになった。その解釈の差が、国が意図した「質の平準化」ではなく「質のばらつき」につながっている。

 アンケートで市町村の防災意識への差が現れたのは「学童の防災対策で課題はあるか」の問いで、回答したのは11市町村で残り16市町村は空欄だった。

 空欄が「課題なし」を意味しているのであれば問題はない。しかしマニュアル一つとっても提出義務がない市町村が大半であることを考えると、課題が何か捉えていない可能性がある。

 行政は子どもの命を守る防災対策を含む運営を学童だけに任せず、実施主体としての自覚を持つ必要がある。

 (関口琴乃)