FC琉球 有終飾れず 富山に1―2 サッカーJ3最終節


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FC琉球―カターレ富山 体を張って富山の選手を止める琉球の枝本雄一郎(16)と小松駿太(8)=2日、富山県立総合運動公園陸上競技場(北日本新聞社提供)

 サッカー明治安田J3の最終節は2日、各地で行い、J3優勝と来季のJ2昇格を決めているFC琉球は富山県立総合運動公園陸上競技場でカターレ富山と対戦し、1-2で敗れた。ロスタイムでの失点で、惜しくもリーグ最終戦は黒星となった。琉球の今季のリーグ通算成績は20勝6分け6敗で勝ち点は66。この日の琉球は、富山の前線への強いプレスに攻めあぐねた。前半43分にはディフェンスの裏のスペースをつかれて先制を許した。しかし風上に立った後半は徐々にパスがつながるようになり、33分に増谷幸祐がコーナーキックを押し込んで同点に。その後は両チーム一進一退の攻防を見せるが、なかなかゴールは決まらず、ロスタイムで富山に得点を奪われ、これが決勝点となった。2位で昇格する鹿児島は相模原に0-1で敗れた。

(2)富山(1勝1敗)
富山 12勝5分け15敗(41)
 2-1(1-0,1-1)
琉球 20勝6分け6敗(66)

▽得点者 【富】 前嶋(7)佐々木一(2)【琉】 増谷(2)
▽観客 4124人

◆飛躍の1年も来季見据える/金監督、喜び控えめ

 金鍾成監督の下で、“3-1で勝つサッカー”を求め続けた今季。総得点は70、勝ち点は66。J2昇格、J3最速優勝、ホーム無敗の三つの偉業を達成するなど、琉球にとって躍動の年となった。金監督は最終戦の試合後、「選手が頑張って勝ち取ったもの」と控えめな中にもうれしさがあった。

 喜びは大きいが、来季への課題も多い。J2の試合数は年間で10試合以上増える予定だ。

 スタメンを大幅に変えて臨んだ11月のセレッソ大阪U23戦は、攻守の連係がかみ合わず0―6で大敗した。主力メンバー以外の底上げは不可欠だ。

FC琉球―カターレ富山 最終節、故郷の地富山県でJリーグ初出場を果たした琉球の大塚翔(右)(北日本新聞社提供)

 最終節、故郷の地でJリーグデビュー戦となった大塚翔は「ここからがスタートだと思って努力していきたい」と意気込む。金監督は「(来季はチームが)一度リセットしてしまうが、楽しんで琉球らしいサッカーをしていきたい」と気負わず臨む構えだ。

◆温かい拍手で閉幕/随所で「らしさ」も

 FC琉球の超攻撃的サッカーは影を潜め、後半ロスタイムに押し込まれて1-2で敗れた。リーグ優勝、J2昇格という歴史をつくった今季最終戦は、白星で締めくくれず。しかし試合後はチームを見守ってきたサポーターから、選手らの労をねぎらうような温かい拍手が送られた。

 スタメンの大きな変更はなく、現状でベストのメンバーで臨んだ最終戦。富山の強いプレッシャーにパスサッカーは封じられる。相手の圧力をかいくぐるため「リスタートを素早くしよう」(金鍾成監督)とハーフタイムに指示。後半はパスがつながり始めたが、相手のホームでの勝ちへの執念が上回った。

 有終の美は飾れなかったが、今季の琉球の躍進は自他とも認めるものだった。0―0で引き分けに終わった秋田戦(5月)以降、前線に厚みを持たせる4-1-4-1のシステムを導入。枝本雄一郎や小松駿太ら即戦力の新加入選手が活躍し、富樫佑太、中川風希ら2年目以降の選手もチームをけん引した。

 富樫と中川は16得点で得点ランキングで共に3位となった。

 この日の試合でも「らしさ」は随所で見られ、試合後、富山の安達亮監督は「優勝チームらしく、とても粘り強かった」と好評価した。

 今季は勝っても負けても他チームからは称賛の声があった。J3は「絶対王者」として卒業する。来季の新たな舞台での琉球旋風をサポーター一人一人が描いている。