バイオレット販売終了 愛され半世紀超 歴史に幕


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
販売終了する「バイオレット」(左)と唯一の沖縄限定紙巻きたばことなる「ウルマ」

 沖縄限定紙巻きたばことして親しまれてきた「バイオレット」が近く販売を終了する。米統治時代の1959年に琉球たばこの製品として販売が開始され、日本復帰後は日本専売公社を経て日本たばこ産業(JT)が販売している。店頭での在庫が売り切れ次第、廃止となる。これにより沖縄限定紙巻きたばこで残るのは「ウルマ」だけになる。 

 復帰前、葉たばこ生産が伸びる中、民間のたばこ製造会社「琉球煙草」「オリエンタル煙草」「沖縄煙草」が設立され、琉球は「バイオレット」「ウルマ」、オリエンタルは「ハイトーン」などの銘柄を製造していた。72年5月15日の沖縄の日本復帰に伴い、これら銘柄は専売公社が製造し販売を受け継いだ。

 バイオレットとウルマは「旧3級品」としてたばこ税の軽減措置を受けていたが、2016年から段階的に縮小・廃止されてきた。それまで比較的安価だったが、現在はバイオレットが350円、ウルマが360円となり、他銘柄の価格に近づいていた。

 JT広報は、バイオレット廃止の理由について「紙巻きたばこ数量の減少もあり、お客さまに高品質な商品を確実に届けるための品質維持、管理が非常に困難となり、廃止を決めた」と説明している。