就学援助、半数利用せず 困窮層小1世帯で46・7%


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 沖縄県は14日、子どもと家族の生活実態を調べる2018年度県小中学生調査の中間報告を行った。就学援助の利用率は小1の困窮層で15年度調査から15ポイント上昇して49・8%となったものの、いまだ半数は利用できていないことが明らかになった。利用率の伸びは、周知広報事業に力を入れた成果と見られる。

 就学援助を利用していない理由として、小1の困窮層は「制度を知らなかった」が15年度の23・1%から9・8%に半減した。「テレビやラジオのCMで制度を知った」とする割合は他学年より高く、初めて制度を利用する小1の親により効果的だったと見られる。

 調査は、独自調査を行う宜野湾市、久米島町を除く全市町村の学校を通して調査票を配布・回収した。対象は小1の保護者、小5と中2の児童生徒と保護者。中間報告は県子どもの貧困対策計画の改定に反映させるため、計画に関連が深い就学援助利用などを抽出した。

 各学年を合計した全体の世帯収入は「300万円未満」が15年度の38・4%から31・3%に減少し、困窮層は25・0%(前回29・9%)となった。ただアンケートによる自己申告での回答であるため、正確な比較はできない。市町村データを基に算出した「子どもの貧困率」(15年度)とは質が異なる。

 調査の方法 8月27日から9月14日までの間、小学1年の保護者、小学5年と中学2年の子どもと保護者を対象に全市町村で均衡を図り、公立小中学校129校に調査票を送付した。独自で同様の調査を実施している宜野湾市と久米島町を除いた。保護者には調査票を9054件配布し6745件(回収率74・5%)を回収した。子どもには調査票を6038件配布し4386件(回収率72・6%)を回収した。保護者に手取りの世帯収入を尋ね、世帯収入を世帯人数で調整した額(等価可処分所得)を算出し、122万円未満の世帯を困窮層、それ以外を非困窮層とした。