「国民、沖縄は入っている?」 岩屋防衛相発言 県内、憤る声相次ぐ


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 岩屋毅防衛相が15日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設は「日米同盟のためでなく、日本国民のためだ」と発言したことに、新基地建設に反対する市民からは「日本国民の中に沖縄県民は入っているのか」「正当化するための口実だ」など、怒りの声が噴出した。

 この日、辺野古の海上でカヌーに乗り抗議した芥川賞作家の目取真俊さん(58)は「政府は沖縄にだけに負担を押し付けている。岩屋防衛相に『日本国民』の中に沖縄が入っているかどうか、聞いてみたい」と語気を強めた。県民の民意を無視して新基地建設を強行する国に「日本全体のために一つの地域を犠牲にするやり方は民主主義から反している。国は沖縄に長年にわたって基地を押し付けてきた。政府が沖縄のことを何も考えていないことがよく分かる」と批判した。

 県立宜野湾高校の英語教諭で宜野湾市在住の宮城千恵さん(60)は、自宅でも学校でも米軍機の爆音による不快感や、事件・事故への危機感を抱えながら生活していると訴える。宮城さんは「繰り返し示された沖縄の民意は伝わっているのか。一度、基地のある街に住んでから発言してほしい」と憤りをあらわにした。

 沖縄国際大学であった米軍基地に起因する環境汚染問題を考えるシンポジウムに参加した70代男性は「米軍基地の存在感を正当化するための口実だ」と指摘し「本来、国防は国民を守るためのものだが、基地の過重な負担が続く沖縄にとっては危険を呼び込むのと同じ」と口調を強めた。