元琉球大教授の太田昭臣(あきおみ)さん(88)が約3年前から毎月、出身地である茨城県各地で沖縄の過重な米軍基地負担について学ぶ学習会を開いている。琉球王国時代や琉球処分などの歴史も踏まえて沖縄の状況を伝える学習会には開催希望が相次いでいる。太田さんは基地問題での沖縄の立場は、琉球史から伝えないと理解できないと強調する。
太田さんが、沖縄に目を向けるようになったのは日本復帰前の1969年ごろ。中学校の国語教員を務める中、沖縄と日本各地の小中学生同士が互いへのメッセージを込めた作文や詩をまとめた本「沖縄の子 本土の子」の発行に携わったことがきっかけだった。嘉手納町の中学生が書いた詩に「ふまれても ふまれても花咲くたんぽぽ」との一節があり強く印象に残った。過重な基地負担に苦しむ沖縄の状況が重なっているように思えた。
91年に琉球大へ赴任後は約24年間、教壇に立つ傍ら基地問題や平和運動に取り組んだ。茨城県牛久市へ戻った後も、市民団体「牛久平和の会」の代表委員として沖縄の基地負担などについての学習会を継続的に開いている。米軍キャンプ・シュワブゲート前で辺野古新基地建設に反対する座り込みにも参加してきた。
学習会には毎回、40~60人が参加している。太田さんは「琉球王国が独立していたことを知らない人も多い。歴史も踏まえて話している。以前よりは沖縄への関心が広がってきた」と手応えを語る。(古堅一樹)