県出身の久田康弘社長が創業したベンチャー企業のリキッド(東京)は、ネット上で本人確認を完結するサービス「LIQUID eKYC」(リキッド イーケイワイシー)の提供を12月から開始した。同社独自の生体認証技術を使うことで、一般利用者は本人確認作業が大幅に緩和され、利便性が高まることが期待できる。事業者にとっては低コストでの本人確認が実現する。同サービスは日本で初めてとなる。
これまではネット上で口座開設などの申請はできても、免許証などの身分証のコピーを送付し、最終的に転送不要郵便を受け取る本人確認が必要だった。同サービスを利用すると、スマートフォンアプリを使って身分証と現在の顔写真を撮影しセットで送信することで、転送不要郵便の送達の完了を待たずに取引を開始することが可能となる。
ことし11月30日付で施行された犯罪収益移転防止法の施行規則の改正に対応した。
リキッドは2013年創業。イオン銀行のATMでは指紋と静脈を使ったリキッドの本人確認システムが導入されている。ハウステンボス(長崎県佐世保市)などで同社独自の技術による決済システムが利用されている。
リキッドの轟木博信経営管理部長は「将来的には、銀行のATMなどに設置されたカメラ画像と、口座開設時の顔画像とのマッチングを行うことで、不正な現金の引き出しを監視するなどのセキュリティー面を向上させることができる」と話した。