元高校教諭で植物学者だった新島義龍さん(享年83)が生前、植物調査で沖縄県内外を訪れ、撮影した写真スライド資料5543点と写真プリント資料4338点の計9881点が19日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館に寄贈された。
1953年の尖閣諸島の調査をはじめ、新島さんが55年間にわたり県内の離島や東南アジアの島、奄美、硫黄鳥島などで撮影した貴重な写真で、植物、地層、動物など絶滅危惧種も含まれる。今年1月に教え子ら有志が1年半かけて出版した「写真集 琉球列島の植物に魅せられて~新島義龍の足跡」にも一部の写真が収蔵されている。
贈呈式で妻のユキさん=那覇市=は「自然を愛した新島が大切にしていた資料を生かす場所を与えていただき感謝したい」と話した。
博物館班主任学芸員の菊川章さんは「西表島の今では見られない高さのヤエヤマヤシの群落や尖閣諸島の固有種センカクツツジ、集落跡など貴重な写真が多い」と述べ、展示や研究などに活用する意向を示した。
写真集の発刊に関わった元琉球大学教育学部教授の新城和治さんは「本に収めている写真は約1200点で、今回寄贈した写真の一部でしかない。ぜひ利用してほしい」と語った。新島氏は1931年、鹿児島県種子島生まれ。38年間、高校の生物教諭を務めた。53、91年と二度尖閣諸島の環境調査に加わるなど、各地でフィールドワークを続けた。2015年8月に亡くなった。