エアコン省エネ装置開発  沖通商と琉球大学 20%電力削減


この記事を書いた人 大森 茂夫
エアコンの室外機に設置し、電力量を削減する「琉球エコシステム(RES)」を開発した沖通商の奥濱哲夫社長(右)と上原直人次長(左)=25日、那覇市安謝の沖通商

 省エネ製品の販売や施工を手掛ける沖通商(沖縄県那覇市、奥濱哲夫社長)が、エアコンの室外機に取り付けて効率を上げ、消費電力を削減する「琉球エコシステム(RES)」を琉球大と共同で開発した。試験により最大で28%、平均約20%の電力を削減できたという。2019年2月から県内で販売する。沖通商によるとエアコンのエネルギー効率を直接上げる産業用省エネ機器を製造するのは沖縄県内初とみられる。

 RESは、既存のエアコン室外機に外付けし、冷媒の液体ガス内に発生する気泡を抑制する。気泡を発生させないことにより、ガスを圧縮するコンプレッサーの効率を向上させ、使用電力量の削減や室外機の長寿命化が可能になるという。塩害に耐えられるようにステンレスで造られている。

 業務用の3~10馬力のエアコンを対象としている。価格は工事費込み25万~30万円。常に空調を稼働させている工場や店舗などで効果的で、既に県内のホテル業者や遊技場などから引き合いがあるという。製造は県内の鉄工所に依頼している。初年で1千台、約3億円程度の販売を目指す。

 沖通商は11年から、RESと同様の効果を発揮する米国アーティックマスター社の製品を代理店として販売していたが、13年に同社が日本での販売を中止した。既に製品を使用している県内の顧客の要望もあり、沖通商がアーティック社と交渉し独自の製品開発に着手した。17年4月に琉球大と共同研究開発契約を結び、実証実験を重ねて開発した。アーティック社の製品と似ているが内部の構造などが異なるという。20年以降は県外への展開も視野に入れている。奥濱社長は「来年の産業まつりにも出したい。沖縄から販売して、全国へ広げていきたい」と話した。