射撃場 訓練再開 「安心して作業できぬ」 名護・数久田 流弾被害者訴え


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 【名護】名護市数久田の農作業小屋を襲った弾が発射された米軍キャンプ・シュワブの射撃場レンジ10を使用した訓練再開を米軍が通知した。弾はレンジ10から発射されたことを米軍が認めて、まだ2週間。安全対策は示されないままの訓練再開に、被害者や市関係者の間では「このままでは安心できない」と懸念が広がっている。基地に隣接する数久田や許田では過去にも流弾事件が起きている。安全を顧みない米軍に対する住民の怒りと不安は強まるばかりだ。

 農場の作業小屋の窓ガラスが割れるなどの被害を受けた小嶺雅彦さん(45)は、訓練再開の通知を知らなかった。「米軍がどんな対策をしたのか、知りたい。それが分からなければ安心して作業できない」と訴えた。

 12日に米軍がレンジ10からの発射を認めた際、小嶺さんは「原因が分かるまでレンジ10は使わない」という説明を受けている。しかし、その後も小銃のような射撃音を農作業中に聞いている。

 渡具知武豊市長は今月21日、沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長に被害者への補償と原因究明、再発防止を求めていた。渡具知市長は「事実関係がはっきりするまではコメントできかねる」とした。

 市議会も12月定例会で「レンジ10」撤去を求める意見書と決議を全会一致で可決していた。大城秀樹議長は「年明けに市議会で(関係機関に)要請するところだった。情報を確認して対応したい」と述べた。

 米軍キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン周辺では1972年の日本復帰以降、記録に残るものだけでも21件の流弾事故が起きている。

 数久田では78年4月、105ミリ砲弾が海岸に着弾した。2002年7月には数久田のパイン畑に米軍キャンプ・シュワブから機関銃弾が着弾している。着弾地点からわずか2メートル離れた場所で、男性が農作業をしていた。