那覇西、死闘制す 全国高校サッカー


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 サッカーの第97回全国高校選手権大会は30日、東京都の駒沢陸上競技場で開幕し、開会式直後の1回戦で県代表の那覇西(2年ぶり16回目)は駒澤大高(東京B、2年ぶり4回目)と対戦し、1―1で迎えたPK戦を10―9で制した。来年1月2日、神奈川県川崎市の等々力陸上競技場で岐阜工業―立正大淞南(島根)の勝者と2回戦で対戦する。那覇西は後半16分、宮國永遠が豪快なミドルシュートをゴール右隅に決め、同点に追い付いた。PK戦は互いに譲らず9―9となり、ゴールキーパー(GK)勝負となった。那覇西は左足を残してゴールを防いだGK新垣凱斗が、11人目のキッカーとして落ち着いて決めきり、PK10―9で粘り勝ちした。開会式では都道府県大会を勝ち抜いた48代表校(東京2校)が堂々と入場行進。平成最後の大会の選手宣誓は初出場の瀬戸内(広島)の佐々木主将が務め「2020年の東京五輪や22年ワールドカップに夢をはせながら、新たな時代の幕開けとなる歴史の一ページをつくる」と力を込めた。

◆PK戦、11人目で決着/アウェー、全員でしのぐ

 ここ数年でベスト8に2度入った強豪・駒澤大高(東京B)を那覇西が退けた。PK戦は11人同士が蹴り合い、最後はゴールキーパー(GK)勝負で試合が決した熱戦。完全アウェーで、相手の応援団で埋まったスタンドが静まりかえる。イレブン全員で勝ち取った死闘に平安山良太監督は「トレーニングを積んだ成果が出た」とたたえた。

 風速5・7メートルで球が風にあおられる状況での試合だった。前半は風下で、攻められる苦しい展開となり、36分にはゴール前へのこぼれ球を押し込まれ、先制点を許した。しかし、東舟道尚吾と比嘉来揮らディフェンス陣は体を入れて守り、傷口を広げなかった。

 1点を追う後半、立ち上がりは危ない場面もあったが、この1カ月間、ポジショニングを徹底してきた選手は冷静にゴール前のボールをクリアし続けた。ベンチで見ていた平安山監督も「セカンドボールからチャンスは訪れるはず」と慌てなかった。

 待ち望んでいた同点弾は16分、中盤でボールを拾った宮國永遠が相手1人をかわし、強烈なミドルシュートで決めた。「今までに見たことがないスーパーシュートだった」(平安山監督)と指揮官もうなった。

 1―1で突入したPK戦は双方が1人ずつ外し、11人目のGK勝負に。まずは那覇西のGK新垣凱斗が左足で防いだ後、自らは落ち着いて決め、こぶしを振り上げて叫んだ。

 攻守で全員プレーに徹した勝利。平安山監督は「一戦一戦準備をしていく」と次戦に向けて、再び気を引き締めた。