学者・文化人ら、完全実施求める 辺野古埋め立ての沖縄県民投票


この記事を書いた人 アバター画像 与那嶺 明彦
投票の権利を奪うことは許されないと訴える「県民投票の全市町村実施を求める会」の呼び掛け人ら=4日、沖縄県庁

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に向けた埋め立ての賛否を問う県民投票の実施が県内6市で不透明になっていることに対し、県内の文化人ら有志はこのほど「県民投票の全市町村実施を求める会」を発足させた。メンバーは4日、県と県議会に対し、全ての県民が投票の権利を行使できるよう配慮を要請した。

 要請には大学教員やアーティストら呼び掛け人26人と、沖縄戦に動員された元学徒や大学院生など賛同者93人の計119人が名を連ねた。要請文では「戦後、沖縄住民が血のにじむ思いで獲得し築き上げてきた民主主義の歴史を自ら否定するものだ」と指摘している。

 同会はこの後、県庁で会見した。沖縄近現代史家の伊佐眞一さんは1週間の呼び掛けで賛同人を集めたと話し「同様の危機感を持っている人がどれだけいるかということの証明だ」と指摘した。

 共同代表の照屋寛之沖縄国際大教授は「首長が最大限尊重すべきなのは住民の声を生かすことだ。世論調査でも全県での実施を望む結果が出ており、その声を押しつぶしてはいけない」と訴えた。

 法政大の屋嘉宗彦名誉教授は「単なる法解釈の問題ではなく、法の背後にある歴史観、価値観が問われている。そこに立ち戻り、沖縄の覚悟を示していかなければいけない。沖縄が踏ん張って全県民が意思を表示することで歴史に残る事業になる」と強調した。

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は「(首長が)考え直すことは恥ずかしいことではない」と話し、写真家の小橋川共男さんは「道理が通らない」と憤りを示した。6市長にも要請文を郵送したという。