ひめゆり平和祈念資料館を刷新 来年、継承へ新展示 04年以来2度目


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ひめゆり平和祈念資料館の開館30周年記念ロビー展で、当時を振り返る普天間朝佳館長(左)と前泊克美さん=4日、糸満市の同館

 6月23日に開館30周年を迎える糸満市のひめゆり平和祈念資料館が、2020年に展示をリニューアルすることが4日、同館への取材で分かった。30周年事業の一環として、ことしから準備を本格化させる。リニューアルは04年以来2度目で、体験者からの意見も取り入れながら新しい展示を決めていく方針。普天間朝佳館長(59)は「体験者と戦後世代の職員が共同で作業できる大切な機会だ」と意気込んでいる。

 同館には修学旅行生が多く訪れるが、学芸員の前泊克美さんは「前回のリニューアルから15年。中高生にとって、さらに戦争が遠いものになっている」と指摘する。今後、中高生に理解してもらえるような展示を検討していくという。

 ひめゆり平和祈念資料館は沖縄戦で看護要員として動員されるなどして犠牲となった沖縄師範学校女子部・県立第一高等女学校の生徒と教師227人を追悼し、平和の大切さを訴えるため1989年に開館した。生き残った元ひめゆり学徒たちが「証言員」として自らの体験を語り、生の声が聞ける施設として全国的に知られるようになった。

 04年には若い世代にさらによく伝わるよう、展示を全面リニューアル。見れば分かる展示を目指して説明文を増やし、証言映像を加えた。昨年3月末時点で2219万人以上が訪れている一方、近年は入館者が減少傾向にある。

 体験者の手によってつくられ、体験者が戦争の悲惨さを語り継いできた資料館。設立以来、館長は元引率教師や元学徒が務めていたが、昨年初めて戦後世代の館長が誕生した。普天間館長は「さらに先の未来を見据えて進めていきたい」と話した。
 (前森智香子)