「はいたいコラム」 重装備か自由か


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 島んちゅのみなさん、はいた~い!お正月はどう過ごされましたか。

 私は三が日は帰省せず、きのう、初出張で関西へ向かう下りの新幹線に乗りました。帰省ラッシュの真逆なので、列車も空いていてラッキー!隣席の人と肘掛けを奪い合わない新幹線ほど、優雅なものはありません。

 さて、初詣には行きましたか。私は願い事の前に住所と名前を言うことにしています。以前、聞いた話で、一度に大勢に願い事をされると神様も大変なので、名前と願いを具体的に伝えた方がよいそうです。ただ「幸せになりますように」では、あなたにとっての幸せが、お金なのか、出世なのか、若返りなのか、発毛なのか、いくら神様でも分かりませんからね。だけど初詣ってたいてい混んでいますから、あまり長々と拝殿を占領するのもよろしくない。なので、自分の番が来たら、すぐ伝えられるよう普段から整理しておくとよいそうです。

 そうやって、いつでも人に(神様に)言えるぐらい自分の目標と計画を意識して行動していれば…、そうです!もはや神頼みしなくても願いは叶うでしょう~というわけです。さらに最も神様に喜ばれるお参りは、年始ではなく、人の少ない時期に行くことだそうです。確かにその方が、神様もゆっくり話を聞いてくれるかもしれませんね。

 思えば、ビジネスも同じではないでしょうか。限られた市場に似たような商品があふれるから競争に巻き込まれる。でも、オンリーワンなら、よそ様(さま)の仕事にも微笑(ほほえ)みかけながら、自分は自分らしく、独自の領域を追求できます。なんて優雅なビジネスライフでしょう。

 競争のない未開拓市場のことを「ブルーオーシャン」と呼びますね。美しく青い海を誰でも泳ぎたいものですが、そのためにはまず、業界における当たり前(常識)を「減らす」「やめる」ことが大事なのだそうです。沖へ出るための重装備ではなく、重たい荷物を捨てて、身軽になれば自由に泳げるという発想です。断捨離やミニマリズムなど、物を持たないライフスタイルが見直されています。確かに、自分にとって本当に必要かを問う前に、持ち過ぎているモノ、コトはあるでしょうね。さあ、みなさんは何を脱ぎ捨てて、身軽になりますか。人の少ない新幹線に乗りながらそんなことを考えました。

(フリーアナウンサー・農業ジャーナリスト)

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小谷あゆみ(こたに・あゆみ) 農業ジャーナリスト、フリーアナウンサー。兵庫県生まれ・高知県育ち。NHK介護百人一首司会。介護・福祉、食・農業をテーマに講演などで活躍。野菜を作るベジアナとして農の多様性を提唱、全国の農村を回る。

(第1、3日曜掲載)