くらし

「生まれの不公平なくしたい」 琉球オフィス・藤本代表 児童施設卒園者の進学支援 50社超が賛同 返済なしで住居費補助

児童養護施設の卒園者の支援を行う琉球オフィスサービスの藤本和之代表

 沖縄県内の児童養護施設を卒園し進学する子どもに、返済不要の住居費を補助している企業がある。企業のホームページ制作などのサービスを提供する琉球オフィスサービス(浦添市・藤本和之代表)だ。同社は企業に住居費補助の寄付を募り、2018年度は50社以上が賛同した。児童養護施設島添の丘、美さと児童園、石嶺児童園の3施設で進学または進級する10人に月約4万円の住居費を支給した。藤本代表は「生まれた環境による不公平をなくしたい」と話す。

 県内企業や施設のホームページ制作を行う琉球オフィスサービスは、2010年の創業当初、県内の児童養護施設を営業で訪れた。最初はどんな施設か分からなかったが、園長や子どもたちと関わる中で卒園後の子どもたちの生活に支えが必要だと気付いた。希望があった4施設に無償でホームページを制作した。

 県内には8カ所の児童養護施設があり、2歳から18歳の子ども約400人が親と離れて暮らしている。18歳で卒園した子どもたちは、進学や就職などそれぞれの進路に進むが、衣食住全て自力で維持しなければならない。身内に頼ることも困難で、経済面の余裕がない子どもたちの進路選択は狭くなる。このような厳しい現状を知った藤本代表は、勉強に集中できる生活を送れるようにと、月約4万円の住居費を在学中全額補助することを決めた。


補助を受ける子どもたちから届いた感謝の手紙

 藤本代表には、保育園から中学生までの子どもが3人いる。施設を見学したとき、藤本代表が感じたのは「不公平感」だった。「ゲームが欲しい、塾に行きたい、一緒に寝たいなど、ある程度は自分の子どもの要望をかなえてあげられる。自分の子と施設の子の差を知り、申し訳ない気持ちになった」と話した。施設にいる子どもは「普通の子だった。生まれた環境によって親と一緒に暮らせないだけでなく、経済面や進路選択にも不公平が生まれている」。

 施設のことや子どものこと、卒業後の苦労など知らないことが多かったが、地域の一員としてできることはあると藤本代表は考えた。「お金は親の愛情には代えられないが、家賃を稼ぐ時間を自分のために使うことができる」。

 子どもたちへの住居費補助は2016年に始まった。「安定的に支援を続けるには利益を生み続けるプレッシャーもある」と藤本代表は話す。1カ月一口1080円から企業に支援の協力を呼び掛けている。2018年度は支援総額476万円のうち81万円は企業からの支援で、残りは同社の売り上げの一部が充てられた。参加企業からは「何かしないといけないと思っていたが、施設のことも支援の仕方も分からなかった。ありがとう」との声があった。

 補助を受ける子どもから届く手紙には「支援のおかげで生活面の不安が減り、安心して学校に通うことができる」「私も支援を必要とする人をサポートできる大人になりたい」などの感謝が述べられている。藤本代表は、補助を受ける子どもには支援側の希望を押し付けない。3施設の進学者全員を支援し、選抜はない。また、成績なども補助には影響しない。「個人の人生だから自由に任せる。ただ、子どもたちには何とかしたいと気に掛ける人がいることだけは知っていてほしい」と語った。今後について「理想は県内全ての児童養護施設を卒園し進学する子どもたちを支援することだ」と話した。

 同社は支援に参加する個人や企業を募っている。問い合わせは(電話)098(894)6900。









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