名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う2月24日の県民投票を巡り、宮古島、宜野湾、沖縄、石垣の4市の首長が不参加を表明するなど全市町村での実施が困難な状況になる中、実現に向け署名活動に奔走してきた若者たちは有権者を置き去りにしたまま投票日を迎えることに危機感を募らせている。11日、「辺野古」県民投票の会と共に活動してきた普久原朝日さん(24)ら若者の有志は急きょ、全市町村で実施するよう求める要請文を玉城デニー知事らに手渡した。若者たちは強く訴える。「全市町村で等しく公平に実施されてこそ意義がある」
「連日報道されている県と反対自治体の攻防は、私たちの意図や本質から少しズレている」。普久原さんはこう感じてきた。10日夜、署名活動に取り組んできた仲間らとの飲み会では、話題が県民投票に集中し、抱えていたもどかしさが爆発した。2月24日の期日にこだわらず、全有権者が参加し、真の民意を問う場にしてほしい―。自分たちの声を届けようと、要請文をまとめた。「LINE(ライン)」で情報を拡散し若者グループに呼び掛けると、真夜中にもかかわらず60人以上から賛同の返信が届いた。賛同者の思いを預かり普久原さんは玉城知事と県議会の各会派に要請文を手渡した。
県民投票を求める署名は、辺野古埋め立てへの賛否を超えて9万筆以上が集まった。普久原さんは「沖縄の未来を自分たちで築き上げたいという思いは、県民の共通認識ではないだろうか」と投げ掛ける。実施に難色を示す自治体に「市民の思いを受け止め、原点に立ち戻って考えてほしい」と訴える。県に対しても「一人一人の参政権を大事にして。2・24ありきではなく最善策を模索し続けてほしい」と理解を求めた。與那覇沙姫さん(34)も「県民投票は自分たちの未来を決めるスタートライン。県民投票を成功させ、誰もが自由に意思表示し、対話できる沖縄をつくりたい」と強調する。沖縄の将来は県民全体で決めたいと、若者たちは行動をすることを諦めない。
(当銘千絵)