「読書力」などの著者で明治大学文学部教授の齋藤孝さんを講師に招いた「新報文化講演会2019」(主催・琉球新報社、協賛・沖縄海邦銀行、琉球新報販売センター)が12日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開催された。「新しい学力とコミュニケーション力」をテーマに講演した齋藤さんは学力の根幹は豊富な語彙(ごい)力にあるとした上で「活字の詰まった新聞は実用日本語力を付ける最高の教材」と語り、日常に新聞を活用した学習を取り入れることを推奨した。
齋藤さんは時代の変化に伴い、求められる学力も変わっていくと指摘。従来の入試などのように情報を記憶し再生する学力は不可欠だが、現代社会ではその知識を踏まえた上で主体的に問題を設定し、思考し、解決することまで求められると訴えた。
対人関係を円滑にするコミュニケーション力や論理的な対話力、物事の流れを理解する文脈力、問題解決に導く思考力などの醸成も、子どもの可能性を無限に広げる要素だと示唆した。その上で齋藤さんはそれらの力を総合的に育てるには、家庭で新聞記事を活用することが効果的だとした。「まずは親子で一緒に気になる新聞記事を読んで、その内容について簡単な意見交換をすることから始めてみて」と呼び掛けた。