判断後手、市長に責任 うるま市が県民投票事実上不参加


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記者会見で質問に答える島袋俊夫うるま市長=14日、うるま市役所

 沖縄県うるま市の島袋俊夫市長が県民投票への事実上不参加の方針を示したのは、市議会が投票事務にかかる予算を2度否決したことが大きい。中でも反対した議員の間に賛否2択への批判が強いことが判断に影響したとみられる。

 2度にわたる決議で予算に反対した議員は「2択では多様な意見を反映することができない」「多様な意思を表現できない投票制度は表現の自由の侵害ではないか」との主張を繰り広げた。

 14日の会見で島袋市長は「全県民の意思表示ができる機会にすべく、県議会において(県政野党・中立会派から)提案された4択とするよう再検討してほしい」と、投票日変更も併せて県に求めた。その上で「市議会で示された市民の強い民意を尊重する必要があり、現段階では事務執行ができる状況にない」と述べた。

 だが、投票に向けた事務作業がタイムリミットを迎えている中、11日に玉城デニー知事は会見を開き、選択肢変更などに必要な条例改正は困難とし、投開票日を変えない考えを表明した。島袋市長はそれまで自身の判断を示さず、今になって条例の改正が必要となる要求を出すのは遅きに失した感が否めない。

 昨年末開催の議会に予算案を提出する前など、選択肢見直しを県に提案する機会はあったはずだ。那覇市など既に投票所の入場券の印刷を発注した市が出ている段階で要求を出すのは、2択を推進する県に県民投票不参加の責任を負わせているかのようにも映る。

 県民投票は県が主体となっており、県の判断には責任が伴う。しかしその一方で市長として、地方自治法で認められている原案執行権を行使せずに市民の投票権を奪うことになる判断を下した責任は極めて大きい。
 (宮城美和)