直木賞「宝島」異例の反響 沖縄県内、完売続出


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「宝島」が品切れとなり、予約を受け付けている売り場=18日午後、那覇市久茂地のリブロリウボウブックセンター店

 米占領下の沖縄を舞台に描き、直木賞を受賞した真藤順丈さん(41)の小説「宝島」が沖縄県内で反響を呼んでいる。16日夜の受賞発表以降、県内の書店各店には同書を買い求める人が殺到し、完売となる店舗が続出している。「ただいま品切れ中です」―。18日、那覇市の大型書店リブロリウボウブックセンター入り口に設置された特設ブースには、完売の告知が張り出されていた。17日朝まで店頭に並べられていた40冊は午後3時には完売、18日も県内全域から予約の電話が殺到した。次回入荷は1月下旬となる。同店の筒井陽一店長は「直木賞作品でもここまで話題沸騰することはかなり珍しい」と述べた。

 同市牧志のジュンク堂書店那覇店でも「ほとんど動かなかった」(森本浩平店長)在庫分が即完売し、200冊を追加発注した。森本店長は「世界的大セラーの『ハリーポッター』や村上春樹さんの新作発売時と同じか、それを上回る過熱ぶりだ」と指摘。「県民が受賞を機に、本土の人がどのように戦後沖縄のシビアな歴史を描くのか関心を持ったのではないか」と分析した。

 同市の球陽堂書房メインプレイス店を訪れた宮平トキ子さん(66)=浦添市=は、売り切れの張り紙にがっかり。「ウチナーの戦後が描かれていると聞き、興味を持った。あると思ったので、ちょっとショック」と述べ、再入荷を待ちたいと語った。