復帰運動や戦後教育に関する膨大な資料のデジタル化を進めてきた読谷村は19日、プロジェクト報告会を読谷村の世界遺産座喜味城跡ユンタンザミュージアムで開いた。「沖縄戦後教育史・復帰関連資料」アーカイブ化プロジェクトの一環。資料は2013年に県教職員組合(沖教組)から村が譲り受けた文書、写真、フィルム、図書、音声テープなど約8万点で、一定のデジタル化を終えた。協力した九州大学大学院博士後期課程の村岡敬明さん(政治学)は「戦後沖縄の象徴的なシーンの写真が多く、資料価値がある」と述べた。
一括交付金やクラウドファンディングで資金を募り、ネガフィルム約1万6千点、文書資料6440簿冊をデジタル化した。復帰前の教職員会会長などを務めた屋良朝苗氏が読谷村出身であることから、村が資料を譲り受けた。一部は読谷村のホームページで公開している。
デジタル化した写真の中には、那覇市内でアイヌ民族と屋良氏が懇談する写真や、1969年の名護市辺野古のキャンプ・シュワブの調査、71年に立法院で沖縄返還協定調印への感謝決議を可決した際のデモと機動隊の衝突の写真などがある。
報告会では村岡さんと、元沖教組委員長で屋良元主席の秘書だった石川元平さん、読谷村立図書館の泉川良彦館長の3人がそれぞれ報告したほか、3人によるパネル議論があった。
村岡さんは、米国資料と今回の資料両方を読み解き「米側の土地収用の仕方の変容や、選挙での米側の裏工作などさまざまなことが見えてくる」と述べた。
石川さんは「屋良朝苗記念館を造り、資料を収蔵して人財育成に役立ててほしい」と期待した。泉川館長は「資料は公開することで生きてくる。活用してほしい」と呼び掛けた。
報告会には約20人が参加した。ユンタンザミュージアムでは2月3日まで、今回の資料の中から厳選した43点の写真展も開催している。図書資料は読谷村立図書館で閲覧可能。