〈解説〉自民、安里氏擁立決定 「自公維」維持が焦点


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 自民党県連が夏の参院選沖縄選挙区の候補者にシンバホールディングス会長で新人の安里繁信氏を擁立することを決めた。元日本青年会議所(JC)会頭や元沖縄観光コンベンションビューロー会長としての知名度を評価したことに加えて、有力候補だった前宜野湾市長の佐喜真淳氏が出馬を見送ったこともあり、会議は約15分で終了した。

 自民県連は昨年末の候補者選考委員会立ち上げの前から、安里氏擁立を視野に水面下で接触を図っていた。ただ、安里氏本人は昨年9月の知事選への出馬を自民側の要望で見送った経緯もあり、「本命」(安里氏周辺)である次期知事選への立候補を模索していたが、自民党所属の県議や支持者からの説得を受け、最終的には自民側の公募に応じる方針を固めた。

 一方、自民県連内には別の思惑もある。知事選では、安里氏を巡り、候補者一本化に向けて「ごたついた」(自民関係者)苦い経験があり、安里氏が参院選に出馬することで「次期知事選への出馬はない」(自民関係者)と期待する声も存在する。ただ、選挙戦への出馬経験がない安里氏の実力を測る「絶好の機会」と捉える関係者も少なくなく、政党色のない安里氏で無党派層を取り込めるとの判断も働いた。

 自民党は今後、公明や維新に推薦願いを出す予定だが、公明内には安里氏擁立に反発する声も少なくない。知事選で揺らいだ「自公維」態勢を維持できるかが次の焦点となる。

 (吉田健一)