オリオン買収発表 野村・外資の子会社に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
野村HD、カーライルとのMBOについて会見を開く與那嶺清オリオンビール社長(右)と亀田浩取締役=23日午後、浦添市城間のオリオンビール本社

 オリオンビール(浦添市、與那嶺清社長)は23日、野村ホールディングス(HD)と米投資ファンドのカーライル・グループが実施するオリオン株の公開買い付けと、完全子会社化を承認すると発表した。両社による買収を受け入れる形となる。1株当たりの公開買い付け価格は7万9200円で、買収価格は約570億円になる見通し。野村HDとカーライルの力を借りて、オリオンの競争力を高めるという。

 野村HDとカーライルの買収を受け入れる背景として、オリオンはビールの消費者が減少していることに加えて、海外事業でも不採算部門があることなどを説明した。株主から株式の現金化を求める意見も出ていたという。課題解決のために野村HDとカーライルを受け入れ、営業体制やマーケティング戦略の強化、ホテル・不動産事業の収益性向上につなげる。野村HDやカーライルは「不動産の資産価値に着目した投資ではなく、不動産の売却予定はない」としている。

 23日に浦添市の本社で会見した與那嶺社長は「野村とカーライルによる新体制の下でも幅広い世代から愛されるビール会社になり、沖縄に根差した企業としてのDNAを維持しながら、若い世代の社員が誇りを持てる沖縄の代表企業になる」と強調した。野村とカーライルによる経営は5年程度で完了する予定で、新規株式公開(IPO)も視野に入れている。

 オリオン株の公開買い付けは、金融投資家などの出資金を活用して自社株式を取得する自社買収(MBO)の形式で進められる。公開買い付け期間は24日から3月22日で、株式の取得は野村HDの子会社・野村キャピタル・パートナーズ(NCAP)とカーライルが出資する特定目的会社(SPC)が手掛ける。株式の取得後にオリオンの嘉手苅義男会長や役職員がSPCに出資をすることで、MBOの形式を取る。オリオンはSPCの傘下に組み込まれる。

 買収完了後のオリオンの取締役は10~11人で、NCAPとカーライルがそれぞれ3人ずつ、オリオンが3~4人となり、アサヒビールから社外取締役1人を迎え入れる。